雑記

文学作品には、その作品をつき動かす力がある。

文学作品には、その作品をつき動かす力がある。その作品の登場人物たちを行動させ、また自然現象を生じさせ、そして、偶然や出会いを導く力がある。 その力が働くから、文学作品は喜劇となり、あるいは悲劇となり、私たち読者の心をうつのだ。 自分が今読ん…

祈りとは何か?

どうしようもないこの思い。祈りとは何か? 祈りを見るとき、なぜ私は、心を打たれるのだろうか? 少し前の話だ。自転車でヒューヒューとバイトに行く途中、街の中である光景をかすめた。クスの大木はあるけれども、趣は全然ないどうでもいい神社。そこで、…

―――「さばく」ということ―――

先月から、いよいよ裁判員制度がはじまった。欧米のように、市民参加型の裁判制度がはじまったのである。 これまで、私たち日本国民は裁判官という代表者に咎(とが)を裁くことをまかせてきた。しかし、裁判員制度が導入される経緯はどうであれ、それの導入…

意見をもつということ

意見をもつことは恐ろしい。 たいていのものごとにはメリットとデメリットがある。その清と濁を併せ呑み込んで、何らかの判断をくだし、意見をもつことは難しい。 個人は情報を収集する認識主体だが、人の認知能力には極めて明快な限界がある。例えば、人は…

友人の話、本を読むことで得る能力

本を読むとどんな能力が得られるのか? 知識が得られるとか、全く基本的だし、ただやっぱりそれが本質だと思うけれど、友人がこの件についてその他に示唆的なことを話してくれたのでメモしたい。 僕自身、ある程度、本を読んできたと思うが、本を読んでると…

ほの暗い自我の奥底から

久しぶりに胸をうたれた。 『命は、大切だ。』 『命を、大切に。』 『そんなこと、何千何万回言われるより、』 『あなたが大切だ。』 『誰かが、そう言ってくれたら、』 『それだけで、生きていける。』 抑揚のない言葉、無気味な間、変化の乏しいタレントの…

テクスト論に対する覚え書き

まずテクスト論とは何か引用したい。 「テクスト論とは、これまでの批評理論が「作品」の意味を「作者」の意図、主題、生涯、時代背景へと還元することを通じて確定し、その確定にいたる過程の作業を分析と称する作者還元主義の立場煮立っていたのに対して、…

「懐かしい知らない場所」

急にザバダックが聞きたくなって、CDを引っ張り出してきた。たまたま手に取ったのが、「桜」。 のれん分け直前のアルバムの一つ。 その中に、「Psi-trailing」という曲がある。 作詞、新居昭乃。 作曲、吉良知彦。 ボーカル、上野洋子。 「Psi-trailing」…

『審判』についての覚え書き

多くの近代小説は、意識的なエゴイズムによって、己が悪行を正当化する様を描いた(例:羅生門)。 また、激情からふと他人を忘れ、無意識的なエゴイズムにはしってしまったことによる悲劇と、人の利己性というむなしさを描いた(例:こころ)。 武田泰淳の…

語り手について考えることは・・・・・・

語り手は物語世界を物語るという超超特権的な地位にある。語り手に従い、語り手の目を通して、読み手は物語世界を読むわけであって、しばしば無意識に語り手と読み手は同化する。 だから語り手の感覚を注視することは、物語そのものを考えることに他ならない…

一人称の3つの機能

①今の時点から過去の自己の言動を反省するという、自己批判的な一人称体。 ②一人の人間の見ることや考えることには限界があるという、視野限定的な一人称体。 ③作者が語り手にみずからを重ね合わせるようにして語る、主観吐露的な一人称体。 「漱石の一人称…

二日月二記

僕って明るい人だと思っていた。 そう言われてきた。 人と話す時はかねがねニコニコしてるし、表情は豊か。初対面の人と話すのもたいして苦にならない。わりあい、誰にでも気軽に話しかける。いろいろな経験をすることが好きで、楽観的。 でも違うんだ。 そ…

「聖地はわずか一センチたりとも場所を移動しない」

『聖地の想像力』 植島啓治 2000 より 確かに動いていない聖地は多いように思う。 聖地の上に聖地は立つ。寺の出自を調べると昔は神社だったっていう例は多い。南アメリカでも、原住民の聖地に、元からあった聖なる建造物をぶっこわして教会が建てられた…

老子について覚え書き

世界のサイクルは「地球圏」、「生物圏」、「人間圈」といったいくつかのまとまりあるサイクルに便宜的にわけることができる。 参考:宇宙人としての生き方:http://d.hatena.ne.jp/skycommu/20090514/1242297886 孔子の仁は人間圏について語ったものである…

正しいことを言おうとした青年

「ものを言うなら正しいことを言いたい。」 「ものを書くなら完全なことを書きたい。」 そう思って、博識でおしゃべりで真面目だった青年は、何も言わなくなりました。何も書かなくなりました。 なぜなら彼は、何か言おうと思ってもそれが正しいかどうか確信…

KYT(鹿児島の放送局)の温暖化防止をうったえる欺瞞にみちみちた番組に写っていた南太平洋の海と島はそれでもとても美しくて、僕は思わずモニターを凝視した

見とれた僕は 肢体の震えを止めるため 思わず海面に顔を出し ハァハァとせわしく呼吸をしている, 夜空に浮かんでいるたくさんの星々はただくりかえし僕の上を回るだけ, 私ははっきり覚えている, 海辺には白くきらめく砂浜が広がっていて さらにその先には音…

小説のような話。女性は少年にどんな話をしたのだろうか?

最近、うちの近くで殺人事件が起こった。 被害者はさらにうちの近くに住んでいる人だった。 だから、いつもはいちいち殺人事件の新聞記事なんて全文読まないけれど、この事件だけは追っていた。興味深い記事が載っていたので紹介したい。 南日本新聞の4月2…

【「本物」を追究する人】と【ノンポリシーな人】

最近、とてもお世話になっていたバイト先のM先輩がバイトをやめた。 僕や他のバイトに比べ、地図作りやはんこ押しがきれいで、丁寧な仕事が手早くできる先輩だった。 刺繍の職人になりたいという。きっと、性格的に合っているに違いない。 いろいろな遊び方…

もういい加減、性善説?or性悪説?はやめようよ

あなたは性善説ですか?それとも性悪説ですか? 未だにこんなくだらない質問が面接やれなんやれでなされると聞いた。 いったい、これほど不毛な問いがあるだろうか。いったい、これほどバカげた問いがあるだろうか。 結論? 性善説も性悪説も完全な見誤り。 …

狭いコミュニティに所属したことによってはじめてできた友達

半年ほど前のことだけど、よく遊ばせてもらってるバイト先の先輩からこう言われたことを思い出した。 「バイトで一緒じゃなかったら、例えば同じクラスぐらいの関係だったら俺たち一緒に遊んでなかったよな。」 よく遊ばせてもらってることから、この言葉に…

美人は三日で飽きるから

日本には実に的を得たいい言葉がある。 つまり、 「美人は三日で飽きる」 だから、大事なのは 「如何に変人であるか? 或いは如何に変人というペルソナを被るか?」 ということだ。 変人最高! みんな、俺を喜ばせるために変人でいてくれ! 空気読めない発言…

人は分かり合えるのだろうか?

昨日、ちょっと大学の先輩と議論になった。 単純なようで深遠な問題、陳腐なようで根源的な問題だと思った。それについて私が先輩に言ったこと、考えたことを簡単にメモしてみたい。 人は分かり合えるのだろうか? 私の先輩は以前その題で議論したことがある…

創造をかきたてる音楽が好き。

創造をかきたてる音楽が好き。創造をかきたてる歌が好き。創造をかきたてる平沢進の音楽が好き。創造をかきたてるsound horizonの音楽が好き。創造をかきたてる詩が好き。創造をかきたてる文章が好き。創造をかきたてる物語が好き。創造をかきたてる情報が好…

「本は人を大きくさせるんだ」

「本は人を大きくさせるんだ」 高校の卒業アルバムに友人が書いてくれた言葉。私が、人から言われて一番嬉しかった、びっくりした言葉。 その友人は親友だったというわけじゃない。プライベートで遊んだことはなかったし、クラスも一度も同じではなかった。…

①あるがままの世界→④私という個がみている世界

私たちは純粋にあるがままの世界を見ているわけではない。あるがままの世界を感じているわけではない。 あるがままの世界と私たちの認識する世界には大きな違いがある。あるがままの世界とは決して人間には知覚できず、ただ観念として存在するのみ。 あるが…

東京に旅行したとき、メモ帳に書いたメモと雑記

およそ9ヶ月前、東京を小旅行した。 その時のメモ帳が見つかったのでそこに記されていた文章を転写しておく。 「若いことはいいことだ。なぜなら、それだけ驚きを得やすいから。いろいろなことを知り、体験していく。そんな時期が人間として一番充実を感じ…

世界は仮説である。

世界は仮説である。 なぜなら、 ①人間の認識は恣意的に入手した限られた情報をもとに、 ②現実に対しヒトとして適切に対処するために組み立てられた仮説に過ぎなく、 ③人間の認識できる世界は客観的世界などではなく、所詮そういう仮説の集合だから。 《20070…

知り合いの話で納得したこと(平和で利益を出すのなら、平和のために寄付を)

ある知り合いがゆうた。 「世界平和を目指そうとか貧困を無くそうとか歌ってる連中が多いけど、そやったらその歌、作詞作曲したやつ、著作権料を寄付したらええやん」 激しく同意。 戦争で苦しんでる子供たちがかわいそうだなあ、とか歌ってる歌多いけど、確…

地球で、たくさんの人が生きているのがみえる

とある英会話教室のポスティングをしている。 ポスティングとはポストにチラシを入れる仕事のことだ。人にその話をすると、「ああ、あのうざいやつね」って言われる。そうだ、あのうざいやつだ。 僕を雇っているのは、とある子供を対象とした英会話教室。だ…

最近、腕時計について思うこと諸々②/②(時計とは私たちヒトの時間感覚を具現化したものであり、またそうであるがゆえに美である)

時間とは何だろう? 今、まさに目に見えてるこの世界は、私の脳がヒトの目という不完全な感覚器官から受けた中途半端な視覚情報を統合した恣意的なものだけど、時間というものもまた極めて恣意的なものだ。ネズミにはネズミの見えてる世界があり、ネズミには…