2009-05-28から1日間の記事一覧

ライ麦畑でつかまえて

超おすすめ! ライ麦畑でつかまえて J・D・サリンジャー 野崎孝訳 1979 白水社 【アマゾンより】 1951年に『ライ麦畑でつかまえて』で登場してからというもの、ホールデン・コールフィールドは「反抗的な若者」の代名詞となってきた。ホールデン少年の物…

幽州台に登る歌

僕は昔、漢詩が好きだった。 多くの詩選集を読みあさったなあ。 日本の和歌も好きだけれど、日本の和歌にはないあの力強さ。 気持ちの良い直情! 書き下し文の調子の良さには、何にもかなうまいと今でも思う。 それらの中に一つ、忘れられない詩がある。 「…

「近代文学における「私」・素描」より

「 暮夜の重い沈黙に醒めて、ひそかに〈私とはなにか〉を問い、泥酔して迎えた朝の薄明に、〈ここに曳く己の影〉の奇怪さにおどろく刻を持って以後ーーー人間がその存在の深奥に補足しがたく、制御しがたい〈私〉を飼うことを覚えて以後、といいかえてもいい…

『審判』についての覚え書き

多くの近代小説は、意識的なエゴイズムによって、己が悪行を正当化する様を描いた(例:羅生門)。 また、激情からふと他人を忘れ、無意識的なエゴイズムにはしってしまったことによる悲劇と、人の利己性というむなしさを描いた(例:こころ)。 武田泰淳の…

物尽し(日本的レトリックの伝統)

物尽し(日本的レトリックの伝統) ジャクリーヌ・ピジョー著 寺田澄江・福井澄訳 1997 平凡社 【雑感】 列挙という修辞法がある。庭にあるのは、みかん、りんご、なし、ぱいなっぷる、いちご、めろん、かき、すもも、ばなな、ナタデココ、、、みたいな…