二日月二記
僕って明るい人だと思っていた。
そう言われてきた。
人と話す時はかねがねニコニコしてるし、表情は豊か。初対面の人と話すのもたいして苦にならない。わりあい、誰にでも気軽に話しかける。いろいろな経験をすることが好きで、楽観的。
でも違うんだ。
そうじゃないんだ。
僕は、自分だけの閉じた世界で完結しているからこそ明るいんだ。
だから、人と話す時はかねがねニコニコしているし、他人に寛容で、他人が平気なんだ。他人が怖くないんだ。
人と話すことは好き。けれども、積極的に人を誘おうとしない。というかそういう発想が自然にわいてこない。
人から誘われたら喜んで行くくせに、自分で思いついたことは全部一人でする。旅行も、買い物も、映画も、ドライブも、散歩も...。
人とおしゃべりをした後、バイクに乗りながらいつも気づく。
「そういえば、○○さんが○○の話をしだしたのは、自分の失敗を聞いて欲しかったからか...。
自分の知りたいことは聞き出したし、その時、考え事してたから適当に相手したなあ。
何かとお世話になっている○○さんが弱ってたんだ。もっと相手をしてあげれば良かった。」
僕は、いい人になろうといつも努力してるつもりだ。ほっぺをつまみ、ぐるぐるマッサージして自分に言い聞かす。さあ、今日も心のガードを下げてニコニコしよう! もっともっと、人に興味をもとう!
そうして一人、呪文を唱えるんだ。
「さすが!」
「まじで!」
「やさしいね!」
「ありがとう!」
「きっとできるよ!」
さあ、これできっと今日も大丈夫!
けれども、僕はいつもの反省を繰り返す。
明日も、ほっぺをつまんでぐるぐるする。
だってやっぱりそれでも僕は、自分だけの閉じた世界に囚われて、いるのだから。
《20080401の記事》