一粒の麦、もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん。死なば多くの実を結ぶべし。

一粒の麦、もし地に落ちて死なずば、ただ一つにてあらん。
死なば多くの実を結ぶべし。


     『ヨハネによる福音書』(九十年代? 諸説有り)、第十二章


 最近、友人(男)の母が亡くなりました。その訃報を聞き、私は強いショックを受ました。それからしばらくして、ふと思い出したのが、上の言葉です。
 わかりやすく訳すと、
「一粒の麦、もし地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。」
といったところでしょうか。これは、エルサレムに入場した際、自身の処刑を予見して、イエスが発した言葉です。


 「死」を許容するのは難しい。大事な人の「死」であればなおさらだ。私だってそうです。しかし、「死」があるからこそ、新しい「生」のうごめく余地ができる。このような、「死に対する一つの見方」を、上の言葉は示しているように思います。