若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
城繁幸 2006 光文社

カヴァー折口より

「上司を食わせる」ためにクタクタになる若者たち
年功序列は終わったと言われて久しい。いまや、上場企業の約9割で成果主義が取り入れられている。とすれば、やる気と才能、そしてハッキリしたキャリアビジョンさえ持ち合わせていれば、若くても活躍できる時代になったのだろうか。いや、そんなことはない。状況はむしろ逆だ。いまの時代、汗水たらして働いても、若いときの苦労はけっして報われない。下手をしたら、一生下働きで終わる可能性もあるのだ――「3年で3割辞める」新卒離職率、「心の病」を抱える30代社員の急増、ニート、フリーター問題……。ベストセラー『内側から見た富士通成果主義」の崩壊』の著者が、若者の視点で、いまの若者をとりまく問題の核心に迫る。

本書のメモ

○企業は、なんでもやります的な人間から、組織のコアとなれる能力と一定の専門性を持った人間を求めるようになった。就職しようとする人間は、それに対応するため明確なキャリアプランをもつようになった。それが若者の離職率を高めるミスマッチの原因になっている。
○がちがちの年功序列制度では、基本給は年齢が基準となっている。だからそれからはずれる、文系院生や中途採用が大変厳しい。
○日本では、能力に基づく賃金制度が多少は広まっているが、今でも年功序列型制度が基本となっている。年功序列制度では、若いうちは賃金は低いことはもちろん、十分な権限と高度は判断のともなう仕事は与えられない(下働き)。代わりに、年齢を重ねると定期昇給や昇進のためのポストが準備された。若い頃のがんばりに対する報酬を出世と、年とってからの高賃金ではらうという仕組みだったのである。しかし、競争の激化から、それらは十分に用意できなくなった。

雑感

幸せになるため、賃金にだけとらわれるのではなく、自分なりの働く理由、生き方を模索すべきだ、と主張している。真面目な話をしているんだけど、この最終結論がなんか浮いてるなあ。


(現代の日本社会は、若者や次世代に大きなツケを残しながら動いている)という主張は、全くその通りだと思う。年金なんて国家のやってるネズミ講みたいなもんだ。若い人であればあるほど、存することは明らかになっている。たぶん、年金はますます税金で補填されるんだろうけれど、若い人ほど損しているという点では同じことだ。
 現在の年功序列制度も年金制度も、コミュニティが拡大しつづけることを前提としている。それがいつかは崩壊することなんてどんなアホでも分かる。改善しなきゃいけないことはずっと前から分かっていたはずだ。でもただ単にめんどくさいから後回しにしているだけなのだろう。
日本というこの巨体がはじけるまで、後回しは続くのだろうか。