平沢進、萩原雪歩、「トラック・ラグーンにゴースト浮遊せしや」

敬愛するアーティスト、平沢進の作詞した、なんともいえない歌を見つけた。
「トラック・ラグーン」。
作曲は、横川理彦。


アイドルマスター トラック・ラグーン(横川理彦with平沢進) ゆきぽソロ」

http://www.nicovideo.jp/watch/sm6306721 より


奇妙な歌詞。不気味な歌詞。バイオリンは鋭くとぎれとぎれ、音楽はだんだんと高揚していく。不安になる。


次第に時間感覚は極大化し、またそれと同時に、時間感覚は喪失する。
うねうねと、僕の周りに時間が収束していく。
次第に空間感覚は喪失し、またそれと同時に、空間感覚は極大化する。
うぇんうぇんと、僕の周りに空間が収斂していく。


「ロスト・フィンガーの男、海水に足洗われり」


平沢の語りを聞く僕たちは、ロスト・フィンガーの男のように、ファーイースト・ファミリーの美学によって回転をしいられ、海水で足を洗われるのだろうか? いや、気づいていないだけで既にもう、僕たちの足は海水によって洗われ、僕たちはトラック・ラグーンに浮遊しているのかもしれない。


そんな不安に駆られる。


この動画制作者は、この不気味な「トラック・ラグーン」という曲に、雪歩が舞う動画をつける。
雪歩は、袴姿で、刀をさし、白いはちまきを巻いた。
うっすらと淀みの沈殿するステージで、ゆっくりと腰をひねりながら静かに手をあげる。
そのあどけない笑顔と、優雅な手つきに導かれ、画面に見入ると、死のにおう服装をした雪歩が、倒れそうな動きを特徴とした踊りを踊っていた。
彼女は、あの蠱惑的な舞で、僕を、トラック・ラグーンに誘っているのである。
「よぉーそろー」