skycommu、キャラクターショーにデヴューする。

えー、私skycommuは一週間ほど前ですが、キャラクターショーにデヴューしてきました!!


キャラクターショーの題目は仮面ライダーカブト。私の役柄はそのザコ敵ワームです。


もちろん長期のバイトではありません(やってられるか!)。あくまで当日限りの短期のバイトです。


ところでどうしてこんなバイトをする羽目になったのか? 本番の二日前にたまに行ってる派遣っぽいバイト先から突然オファーがきたのです。「誰かキャラクターショーをやってみませんか?」と。


いろんなバイトをすることを至上命題としている私はそれにとびついたわけ。


オファーがきた日は、別のバイトの報告書を書きに行かなければならなかったので、オファーのきた日の翌日、つまり本番の前日に初めて練習に行きました。


カブト(カブトムシ仮面ライダー)やガタッククワガタムシ仮面ライダー)、ザビー(スズメバチ仮面ライダー)役の方々が来て、ショーの格闘シーンの動きを構築していく中で改めて自分の無謀さ、たった一日だけ練習して本番に望むという恐ろしさに気づいて泣きそうになりました(まぢです)。その日は一緒に五時間ほども練習。初歩から練習。紙に書いて家で復習。DVDを借りて家で流れを予習。朝も練習しようとしたけど起きれなかったのでなし。ただ本番前にみんなで確認。して、本番という超強行軍。


移動中はずっとショーのテープが流されてたので、自分の動きを脳内再生してました。



ーーーーーーー本番ーーーーーーー
カブト「たとえ何千匹いようともクロックアップできなければ同じことだ」
ワーム「ワキャー!」 my heart voice(クロックアップてなんだ??)(俺のやってるザコワームはクロックアップできるのか??)
ーーーーーーー本番ーーーーーーー



ってな感じで本番は無事に終。決められた動きは一応間違えませんでした。動きが遅くて全部できない部分があり、また決められた動きをミスらないことに頭がずっといって、よりかっこよく攻撃しかつリアルにやられているように振る舞えたかはあんまり注力できなかったけれど。


笑えるのが翌日、ひどい筋肉痛になったことです。確かに普段から運動しているとは言い難い。でも俺まだ19歳なのに。そんなにハードに動いてるつもりじゃなかったのに(緊張してたからだろうか)。


さて、簡単に流れを追ったところでこのバイトをしたことでいくつか気づいた点をあげよう。


①三十分のショーとはいえ相当きつい。前述どおり翌日はずかしながら筋肉痛になった。ただやられるだけのザコでそうだ。主役の三人はもっとだろう。しかも主役たちは公演の後、写真撮影会、サイン会、握手会まである。
感謝の気持ちを持って彼らに接し、子どものわがままは厳に慎ませるべきだ。お姉さんや係の人のいうことはよく聞こう。写真は一回だよ。握手は今できないよ。ちゃんと並ぼうね。(ごめんね。カブトはボランティアできないんだよ。だって君たちがカブトの活躍を知るようになるには莫大な金がかかるんだから。)


②こんなことでケチをつけるのも何だが、ストーリーは非常に幼稚だった。子どもたちは目をきらきらさせながら性格の屈折した正義の味方が悪者を倒す姿を見ていく。あまりに幼稚なストーリーにびっくりした。他の国では同年代の子どもが命を焦がして働いたり物を乞うたりしてるのに。


んっ?でも、、、こんな話どっかで見たぞ? そうだ神話だ。これは神話の世界だ。善がいて悪がいる。天使がいて悪魔がいる。正しい味方がいて誤った敵がいる。


神話の世界は実に魅力だ。でもそれは歴史を、もう二度と取り戻せない人類のある心象を反映しているからである。いくら神話とカブトショーのストーリーが似てるからといって同列には論じ得ない。


世界はかつて神話を生んだ。


でも今、私たちは神話を倦むことのできる価値観を持っている。子どもたちはいつかそれに気づくだろうし、必ず気づかなければならない。


③物品が異常に高い。サイン付きのカレンダーが1300円。バッヂが400円。サイン付きの色紙が400円。この利益はほとんどプロダクション側にいくのだろう。そりゃそうだ。彼らは奇跡的に成功した遺産を引き継ぎ、創造的に次々とキャラクターを生み出し、大手メディアとタッグを組み莫大な広告をうつ。当然、プロダクション側は多くの取り分を得るべきなのかもしれない。


きらきらと目を輝かせた子どもたちを引き連れ、わくわくしたお子さんをみて喜ぶ親御さん。何の疑いもなく(本当に!)商品を買っていく。私はケチだが、逆の立場になったら満足して買うかもしれない。だが少なくとも、自分が、自分のお子さんが、金銭をガソリンとした市場経済に巻き込まれていることは深く自覚するべきだろう。そしてそのお子さんが少しでも大きくなった時、市場の悲しいシステムを教えられるようになってほしいものだ。自分がいかに大きな広告戦略、メディア戦略にのっかり支配されてきたのかを・・・。


④少なくとも私がやったところではバイトとしては成り立たない。練習は一切報酬なし。一日中拘束されるのに日給5500円(公演は二回合計で1時間、公演後の撮影会などで1時間、後かたづけで1.5時間といったところ、後は移動時間待ち時間)。話にならん。仮面ライダーの他にもクレヨンしんちゃんとか何とかレンジャーとかいろいろやってるみたいだけどほとんど高校生。それほど稼ぐ必要がないからだろう。
練習中の雰囲気も部活っぽかった。もっともこれはプロ意識がないとかいう批判めいた意味では全然なくて、若い連中が和気藹々と練習に時間をつぶしているからそう表現した。
なお、主役三人はOB。素敵なおじさんたち。彼らの報酬はもちろんザコなんかと違うだろう。とかく、このキャラクターショーというバイトは、少なくともここではほとんどボランティアというか、キャラクターショーの特殊な魅力に引きつけられた方々の善意と非経済的な活動によって支えられていた。


それがいいのかどうか分からない。雇う側はそれでいい。だが安定的なショーの継続という面では多少疑問に感じた。もっともこれは当事者が考え決めるべきことで僕の口出しすることではないだろう。


キャラクターショーの魅力に取り憑かれたのならそれもいいかもしれない。私は絶対いやだが。


しょっちゅうイベントの警備などをしているので、ショーが終わり集団で車に乗せられ帰っていくキャラクターショーの連中を何回か見たことがある。きっと僕なんかよりずっと日給が高いんだろうなと思っていた。とんでもない間違いだった。少なくともザコ級の日給は警備なんかより低い。主役級はどうなのだろうか?せっかくだから日給を聞いておけばよかった。意外と低いような気がする。


⑤熟練者(ここでは主役三人組)の指導のもと、一日前に格闘シーンの動きを本格的に決めていく。ストーリーとそれにかかる時間を把握し、ザコのレヴェルに合わせできるだけかっこよくまたバランスよく動きを作っていく。熟練者たちは本当にすごい。これぞプロだ。しかし、いくら何でも一日前に決めなくてもと思う。どうやらいつものことらしいし、確かにその日も僕という爆弾を抱えつつうまくまわったのだけれども。


《20061104の記事》