写真

入来のさと

清色城にて。 子どもが木登りできるようにか、縄が吊してあった。 永い間、雨風をうけた縄は美しい。木肌に生えている苔も、世界の風化を祝福している。 あの縄を手にとる子らは、あと何年いるだろう? 清色城は、鹿児島県薩摩川内市入来町にある中世の山城…

暖かい日、ネコとイヌ

愛車。

7代目、ホンダのアコード。 車こそ、私たちが今生きる、【【近代】】の象徴だと思う。 石油を燃やし、それを莫大な運動エネルギーとして取り出したものを、「個人」が使っているから。 音楽をかけながら自由気ままにドライブしていると、鋼の巨体を動かす力…

人が帰るところ

人が帰るところ 波の音 潮の香 冷たい水 ひとたび足をつければ、ほらそこは

2010年のきおく。磯間岳山頂。

なみなみと岩陵をつたっていくと、頂上に着く。 眼下に広がるのは鹿児島県、旧大浦町。 23の冬。54の冬。僕は、亡くなった祖父が生まれ育った町を見ている。 僕はペンタックス。父はキャノン。 カメラは僕のが高級だけど、レンズは父のがいい。

生後三日のヤギは宇宙

双子だった。一匹は生まれてまもなく死んだ。 僕が近づくと、すぐ母親の陰に隠れようとするんだな。 壁から向けられた白熱電球が暖かい。人間がつくったものも、ときとして悪くない。 陰影をまとった雲がまわる。小屋の外は雨だった。 フィラメントが包むこ…

山口県、秋芳洞。コウモリを追い出して創りし幻想の道。

微細にして悲細。君はそうやっていつも明るく笑っているんだね。

口之島フリイ岳山頂。かきわけた笹の先には、、、

「人間には、あるがままの本当の世界を認知して、正しい判断をくだすことなんて、絶対にできないんだよ!」 人間の腰ほどの高さの笹に覆われた標高250メートルほどの山頂に立ち、ぽつぽつと雲の流れる澄みきった青空と、笹で一面覆われた薄緑色の島と、ち…

「笹で一面覆われた薄緑色の島」のお話

男2人で小さな島を旅行した帰り。 島は、人口100人とちょっとで、しいていえば、ヒョウタンのような形をしている。 大和(民宿のおばあちゃんは、本土のことをそう呼んだんだ)行きの船の中。 もちろん島にはホテルなどなく、3件の民宿があるのみ。 時…