姑獲鳥の夏

姑獲鳥の夏
京極夏彦 2005 講談社


【カヴァーより】
【上巻】
「二十箇月もの間子供を身篭っていることができると思うかい?」。昭和二十七年の夏、三文文士の関口巽は東京は雑司ケ谷にある久遠寺医院の娘にまつわる奇怪な噂を耳にする。しかも、密室から煙のように消えたというその夫・牧朗は関口の旧制高校時代の一年先輩だった。ポケットに入る分冊版、刊行開始。


【下巻】
「私を―たすけてください」。古本屋京極堂にして陰陽師中禅寺秋彦が刑事の木場、探偵である榎木津を前にして解き明かす久遠寺家の「血」。呪われた真相は卑劣漢・内藤を恐怖のどん底へと叩き込み、文士・関口の自我を根底から揺るがす。そして京極堂はいう。「この世には不思議なことなど何もないのだよ」


【雑感】
京極堂の、蘊蓄という名の言葉遊びにだまされている語り手(関口)をみているといらいらする。


科学の発見を織り交ぜた蘊蓄なので、多々ある誤解しているところには、きちっと反論したくなる。我ながら野暮かなあ。


ただ、欧米のSFが積み上げてきた世界観〈現実は神経系の仮定にすぎない〉を和風妖怪サスペンスミステリー?の土台に据えてみたところは、新しいんじゃないかなあと思った。


《20080826の記事》