(『国文科へ行こう!』、上野誠編)より

○(源氏物語の後半部について)
「〈個〉の〈孤〉の内面をきわだたせるところから、救いの問題をテーマにするようでありながら、宗教的な奇蹟のドラマのはてに、人びとの往生が語られるのではなく、むしろ、その前でかえってうごめき、さまよう人間の姿をえがくにとどまったところに『源氏物語』の文学としてのすごさがある」

神野藤昭夫氏の指摘