データはウソをつく 科学的な社会調査の方法

データはウソをつく 科学的な社会調査の方法
谷岡一郎 2007 筑摩書房

内容、背表紙より

正しい手順や方法が用いられないと、データは妖怪のように化けてしまうことがある。本書では、世にあふれる数字や情報の中から、本物を見分けるコツを伝授する。

感想

○因果関係と相関関係の違いといった、クリティカルシンキングに関するいくつかの項目が述べられている。この手の本を読むと、あらためて疑って考えること、他の可能性を考えることの大切さに思いいたる。
しかし本書は、あまりに初歩的な知識ばかりでもの足りない。また、初歩的な知識をおさえる本ならばそれはそれでよいのだが、もっともっと具体例を提示してほしかった。具体例も少ない。

○文の切れ味、主張の切れ味は全著「「社会調査」のウソ リサーチ・リテラシーのすすめ」(http://d.hatena.ne.jp/skycommu/20141203/1417606918)のほうがずっと鋭敏。

○社会調査を行う際の注意点を整理していることが、この手の本のなかでは珍しい、と思う。

メモ

○「研究者はよく自分のひらめきを真実だと過信してしまいます。別の言い方をすれば、「自分のひらめきに惚れこんでしまう」のです。恋は盲目と言いますが、惚れこんでしまうと周りが見えなくなります」p17

○(社会科学は自然科学と違い、たくさんの要素が絡んでいるため、常に蓋然性を含んでいる。完全な黒や白ではなく、灰色。それがどれだけ黒色に近いか、あるいは白色に近いかということ。
また、時間や空間、文化等によって調査に制限が加わる。)