日本語作文術 伝わる文章を書くために

日本語作文術 伝わる文章を書くために
野内良三 2010 中央公論新社

内容、カバー折口より

読みにくい日本語では、誰にも読んでもらえない。説得力のある、わかりやすい文章をどう書くか。短文を意識すること、語順や読点に敏感になること、段落の構成や論証の仕方に気を配ること。そして、起承転結ではなく、「結」起承「展」。これだけで、文章の説得力はぐんとアップする。本書では、作文に役立つ「使える定型表現」のリストも大々的に披露。日本語力を、生きていく上での強力な武器とするための指南書。

感想

・文章を書くうえでの「技術」をいくつか紹介した本。勉強になる本である。

・本書は定型表現を自分なりに集めて、作文に利用することを説いている。このやり方は文筆家たちには評判が悪い、と主張しているが、それはさすがに言い過ぎだろう。というのも、気に入った表現や議論の型を集めてきたという勉強法を何度も読んだことがあるからだ。

・本書は他言語と比べながら日本語の特徴にも触れている。文章術系の本では日本語の特徴に触れていないものもけっこうあり、そういう点では興味をひかれる読者もいるかもしれない。

メモ

・レトリックは本来、理性と感情の両面に訴えかける総合的な説得術。

・文は切って、短く書くべき。
そもそも文が長くなってしまうのは、思考は流れているものであり、それをそのまま文にしているから。思ったように書くと、文は長くなってしまう。
流れる思考に切れ目をいれ、論理構造を整理し組み立て直すことで、考えが整理された読みやすい文章となる。

・文章は、読み手のことをよくおもんぱかって、一読してすらすらと頭に入るように書くべき。

・結論は先に書いた方がよい。読み手への配慮。さらに、論が横道に逸れにくくなる。