石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門

石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか? エネルギー情報学入門
岩瀬昇 2014 文藝春秋

内容、カバー折口より

資源ナショナリズムが高まる今こそ、「教養」としてのエネルギー複眼思考を。商社でエネルギー部門に携わること40年以上の著者が、これまで誰も言わなかった石油「埋蔵量」のカラ
クリ、シェールガスの未来、「第5のエネルギー」の可能性をやさしく解説。資源が乏しい日本が選ぶべき道は?

感想

基本的なことを整理している。アメリカは石油産業が充実し、また市場が発達している様子などが特に勉強になった。

メモ

○エネルギー安全保障は国家の安全保障に直結。

○石油や天然ガスの開発には数年〜10年ほどかかる。したがって需要の増減に対応して、供給を調整するのは容易ではない。

アメリカのシェールガスシェールオイル開発は、アメリカの起業精神と発達したパイプ網、自由な取引を認める法整備に支えられている。

○石油は流通量が多く、市場が整備され、誰でも買える商品となった。しかし、戦争が起きたり政情が不安になると、今でも石油輸出入の懸念から混乱がおきており、非常時においては重要な戦略物資となっている。

○自国に資源のある国はその資源を最大限使用している。

○同額のGDPを生み出すため、どれだけ一次エネルギーを使ったか、各国を比較してみると、
 ・スイスがもっとも低く日本の0.57倍
 ・アメリカは日本の1.70倍
 ・中国、ロシア、インドは日本の4倍程度
 ・ヨーロッパの先進国は日本とにたりよったり

○日本のエネルギー政策を考えるうえで、どのような国であってほしいかということを真剣に考えることがまず土台になる。「安定供給」の方に軸をうつせば当然コストは増す。

○中国はエネルギーの安全保障は国家の安全保障、という基本認識から経済性を無視してでも非常時を前提に政策を打ち立て実行している。

○エネルギー政策については、人気のある政策に振りまわされることなく長期的な視野にたって実行していくべき。