史上最強の哲学入門

史上最強の哲学入門
飲茶 2010 マガジン・マガジン

内容、出版者ウェブサイトより

最高の真理を求めた男たちの熱き闘い!
難しそうな学問を、噛み砕いた言葉で、ひたすらわかりやすく解説した本(『哲学的な何か』シリーズ)が大好評の、飲茶氏による書き下ろし哲学ガイド。
カバーイラストに、『グラップラー刃牙』シリーズで絶大な人気を誇る板垣恵介氏を起用し、「真理」「国家」「神」「存在」といった、哲学の永遠のテーマを、哲学者=知の格闘家たちが、熱く激しい議論を繰り広げた物語として読む。
図解や写真を多用し、「哲学」ってどんなものか知ってみたい人、今まで、「哲学」に何度も挫折してきた人も、これでハマる哲学入門の決定版。

感想

著者のウェブサイトを以前、よく読んでいたので、本書を読んでみた。

高校で習った科目「倫理」の記憶と比べると、それぞれの思想が出てきた背景や経緯が述べられていて、この点、本書を読んで勉強になった。本書は「哲学の永遠のテーマを、哲学者=知の格闘家たちが、熱く激しい議論を繰り広げた物語として読む」という枠組みで各思想を捉えているため、論点を整理したうえで、それぞれの思想がそれまでの思想の限界を乗り越えようと提出されたものとして位置づけられている。本当のところ、各思想家たちがどれほど以前の思想を意識していたかはそれぞれなのだろうが、おもしろいフレームワークだな、と思った。そして対立軸があるとわかりやすい。

メモ

ニーチェは「神」や「信仰」、「道徳」について、弱者の嫉妬によって作り出されたものに過ぎない、と主張した。人間は「強さ」を希求するのが本来の生き方であるが、弱者は弱者ゆえにそれを満たすことができない。そこで満たすことのできない「強さ」の代わりに精神的な価値、つまり信仰や道徳を創造した、というのである。=「弱者のルサンチマン
道徳や宗教は、弱者であることを惨めに思わないように機能している。だがこれは本来の人間のあり方ではない。

ニーチェはさらに、宗教や道徳が絶対的価値とならないこれからの時代では、強くなりたいという意志をしっかりと自覚し、それから目を背けず追求する「超人」をめざすことが必要だ、と主張した。それが神が死んだ世界において、充実した生をおくるために必要なことである、と。

ソシュールは「モノがあるからそれに対応する言語が発生した」のではなく、「区別する価値があるから、その区別に対応する言語が発生した」。つまり言語は、存在をどのように区別したいか、という価値観に基づく、と主張した。