あなたを天才にするスマートノート

あなたを天才にするスマートノート
岡田 斗司夫 2011 文藝春秋

内容、カバー折口より

岡田斗司夫が10年以上かけて作り上げたノート術、「スマートノート」のシステム、始め方、続け方を伝授!簡単に始められ、続けられる。楽になる。面白い人になる。「わかる」瞬間が来る。そしてあなたはいつしか「天才」に。

メモ

○苦しさの本質は、複数の悩みが頭の中でグルグルと繰り返しまわることにある。悩みを書き出すことによって悩みや対応が整理でき、悩みがグルグルとまわり続ける状態から解放され、楽になることができる。

○思考の掘り下げかた
・なぜ? 理由を深める
・ということは? 次の手を考える
・過去にあった類例を考えてみて、比較する
・その他類例を考えてみる
・自分の気持ちをもつ、自分なりの結論をもつ

○思考を柔軟に広げ、面白さに焦点をあてて考えてみよう
・具体的な経験や失敗談
・小学生でもわかるようなたとえ話
・抽象化し、「一言で」まとめてみる
・無茶なダジャレ、ギャグ、ツッコミ

○「教養」だけだともの足りない。「教養」に語り手の立場や判断が加わり、語り手の顔が見えるようになると「見識」になる。「見識」をもてるように。

感想

○発想力、表現力、論理力を兼ね備えた人間をめざすべく、思考を深めるノートシステム(ノート術)について提案している。
そのノートシステムのポイントとしては
・行動の記録とその評価をつけることによって、日々の生活を望ましい方向(行動)にしていこうということ
・見開き1ページを1日にあて、その空白を埋めようとする工夫(横書きで右側から書く、左側が空欄だと気になって埋めようとする)とセットにすることで、本人の強い決意でというよりも、「しくみ」によって考えを深めるノートシステム。
・まじめな掘り下げだけでなく、無茶なダジャレ、ギャク、ツッコミなど、思考を柔軟に広げる具体的な手だて

○思考を深め広げる、著者の喩えによると、それは農業において日々手入れをして豊かな腐葉土をつくって種を蒔いていくことと同じだという。日々ネタをつかんで思考していくことが必要だ。その日々必要なことを日々のなかで行うこととしてシステムとして落とし込んでいることが、本書の特徴だと思う。それが、著者のいうスマートノートという解なんだろうと思う。あーせい、こーせい、ということはいろんな本でも述べられているが、本書はそれを日々行うシステムとして追求し整備し提案している、という点が評価できる。

もっとも、自分にはなかなかできそうにない。それこそ(『採用基準 地頭より論理的思考力より大切なもの』伊賀泰代)という本が述べている、「思考意欲」と「思考体力」が充実した人なのだろう。岡田氏の提案しているノートは工夫され高いレベルでシステム化されているとは思うものの、やっぱり結局、考えることが大好きで、考えても考えてもあまり疲れない人でなければ続かないのではないか、そうも思う。
とはいえ、そりゃまあ仕方のないことで、どうしようもないことで、スマートノートというアイデアの価値を減じるものでもないだろう。