黒い家

黒い家
貴志祐介 H9 角川

内容、出版者ウェブサイトより

顧客の家に呼ばれ、子供の首吊り死体の発見者になってしまった保険会社社員・若槻は、顧客の不審な態度から独自の調査を始める。それが悪夢の始まりだった。第4回日本ホラー小説大賞受賞。

感想

保険金詐欺を題材にしたホラー小説。
著者が生命保険会社に勤めていたことがあっただけあって、保険会社の仕事ぶりがかいま見える。そこは本小説で勉強になる点かな。さすがにお金のからむ仕事だけあって、丁寧というか煩雑な書類仕事のなかに、お役所的なところがかいまみえ、またそれにちょっと嘆息する主人公に共感。

他者に対する共感の欠如したサイコパスの恐怖を描いていて、じんわりと怖い思いをした。

人間の多面性とかある種の勇気を描けていると、もっと内容の豊かな小説になったと思う。現状は典型的な大衆小説ではなかろうか。

あとネット上でも指摘が多かったけれど、主人公が自分の彼女の身の安全に気が回らない点など、ちょっとバカで、感情移入の妨げになった。