「流域地図」の作り方 川から地球を考える

「流域地図」の作り方 川から地球を考える
岸 由二 2013 筑摩

内容(背表紙より)

あなたは今、どこに暮らしていますか?行政区分ではなく、「自然の住所」でそれを表せますか?近所の川を源流から河口まで、流れを追って「流域地図」を作ってみよう。すると、大地の連なりから都市と自然の共存まで見えてくる。

メモ

○「川を軸にして広がる「流域」をベースに土地を区分けしていくのが、この「流域地図」」p11

○「大地に降った雨水が、高いところから低いところへ大地を伝わって流れていき、川に集まる。こんな具合に、雨水が川に至るまでの大地の範囲を「流域」というわけだ。」p27

○(尾根が「分水界」となり、降った雨の行方を左右に分ける。尾根によって流域は区分けされる。)p27

○流域地図は自然のつながりを意識させる地図。自然のそのままを反映した地図。

○流域を意識すると大地のデコボコを体感できる。

○(水系を軸にして広がる流域地図で自分の今いるところを把握し、また流域地図に基づいて地理やそこに広がる生態系をたどることで、自分も流域という生態系のなかで暮らしていると実感することができる)

感想

○本書は述べている。山がちな国土をもつ日本。そこに雨が降ると、尾根を境に低地へと水は集まり、やがて川となって流れていく。
本書を読んでいて、その様を十分に想像できるようになった。じっくりと雨が集まって水の流れを生み出す。しとしととする雨音のなか、山の斜面からじんわりと水が集まってくる。山によっては尾根によっては、水系が全く異なって、そのまま分かれてしまうことも。
幻想的な光景である。

○正直いって中身は薄い。筆者による具体的な自然保護活動等はふれているけれど、地理学、地学、河川工学や生態学に関する知識はほとんど述べられていなかった。あまりに浅い内容であって物足りない。

「流域」や「水系」というものの見方、思考のレイヤーをわかりやすく提示してくれているのは本書の利点だけれど、もう少し学術的につっこんだ話をしてもよかっただろう。