〈銀の匙〉の国語授業

銀の匙〉の国語授業
橋本 武 2012 岩波書店

内容、背表紙より

神戸の灘校で、中学3年間をかけて『銀の匙』をじっくり読み込むという驚くべき授業を続けてきた橋本先生の実践的授業。「国語はすべての教材の基本であり、学ぶ力の背骨」だという“伝説の教師”が、国語の学び方を伝える。「学ぶこと」の原点に気づかされる1冊。

感想

○本書で紹介している「じっくり読み込む」授業実践方法についてメモ
・小説に出てくるちょっとした言葉を徹底的に調べる。
・古文の原典にあたる。
・小説に出てくる遊びを追体験する。
・他の言葉や習慣と関連づけて学習する。

中身があるのかないのか、微妙な本。タイトルを『〈銀の匙〉の国語授業』とめいうっているにもかかわらず、その授業については表面をなぞるだけ。著者の実践を通して授業改善のヒントを得たいと思ったのだが、自分の苦労話や授業と関係ない話が多く、うんざりした。「橋本武」に興味がある人はよいのだろう。しかし『〈銀の匙〉の国語授業』というタイトルにする以上、そして背表紙の宣伝もそれについて述べている以上、きちんと焦点化するべきだ。

まだまだ著者が論述するべきことはたくさんあった。「じっくり読み込む」授業の具体的実践について。また、その授業のねらいは書いてあったが、その効果の証明。横道のそれ方。横道にそれる題材の研究法。授業を組み立てたり中身を充実していくうえで参考になる文献などなど。

授業実践を学ぼうという姿勢で本書を読むと、内容の薄さにあらためて愕然としてしまう。「著者」は出版された年で100歳だという。さすがに口述筆記かゴーストライターがいるのだろうが、出版者はちゃんと仕事してください。

メモ

授業を受けた黒岩氏の著述より
○(小説の各章にタイトルを付すという授業実践は、自分でいろいろ考えることによって、能動的に小説の中に入り込んでいくことができる。)