ホームズ船長の冒険 開港前後のイギリス商社

ホームズ船長の冒険 開港前後のイギリス商社
ヘンリー ホームズ著 横浜開港資料館編集 杉山伸也,ヘレン・J.ボールハチェット翻訳 H5 有隣堂

内容、カバー折口より

帆船トロアス号の船長ヘンリー・ホームズは、上海で、一年後には日本が開港すると聞き、極東最大のイギリス商社、ジャーディン・マセソン商会と傭船契約をむすび、開港前後の長崎・横浜・箱館を訪れた。本書は、貿易商人としての自由な立場でつづられたユニークな見聞記であり、金貨の取引や日本茶の輸出など、外国商会の具体的な活動がいきいきと描かれている。また、ホームズ船長の活動に関連するジャーディン・マセソン商会の書簡と、一八五九年のイギリス領事報告を収録、詳細な訳注と解説を付して、開港当初の貿易の実態を、あますところなく再現する。

感想

○200年鎖国を続けた国、日本。当時、すでに世界をまたにかけていた西欧人にとって、その日本は未知の国であった。
そんな日本も、アメリカの外圧によっていよいよ開国に追い込まれる。
その未知の国と、他者に先がけて商売をする興奮が本書を読んでいると伝わってくる。

○ホームズ船長もそうだし、当時の海外通商に関わる人々の多くは冒険者でもあったのではないか。
未知の世界、未知の暮らし、未知の人々に興奮し、危険な状況になる可能性のなか彼らと彼らの世界を少しでも知ろうとするホームズ船長の記述を読んで、そんな気にさせられた。

メモ

「最初にみたものは、多くの子供たちが次のような仕方で楽しんでいる様子だった。男の子は独楽をまわし、凧をあげ、竹馬にのり、女の子は羽根つきをして遊んでいた。これは驚きだった。というのは、独楽や凧や羽子板はすべて、私が子供のときに遊んだものよりもよくできていたからである。」p18

(日本の習慣をよく知らないがため、日本人を意図せず侮辱してしまうことがないよう、よく周りを観察し、慎重に行動した。)

徳川時代の200年ものあいだ、日本のなかで何がおこなわれていたかほとんど知られていないにもかかわらず、醤油は世界のいたるところで名声を得ている。醤油がイギリスのソースに匹敵するかどうかわからないが、これが両国の貿易の開始にあたって最初の積み荷であった」p35