『倫理的な戦争 トニー・ブレアの栄光と挫折』細谷雄一

○(冷戦後、虐殺で多くの死者が出ていた。ブレア英国首相はこの問題に非軍事的手段のみならず、軍事的手段をも用いてより積極的に介入する必要性を説いた)

○ジェノサイドを止めるために軍事介入を行う必要があるかもしれない。しかし、イラク戦争の混乱をみていると、ブレア首相が実践した軌跡に示されるよりも、はるかに厳格な基準を通すことが不可欠。

○ブレア首相は、多国間で協力するという国際主義的な防衛政策を志向。しかしイラク戦争では国際的な協力の枠組みを確保できず。

アフガニスタン戦争やイラク戦争における「倫理的な戦争」の矛盾。
・人道的介入という論理ではなく、アメリカの国家安全保障のための対テロ戦争という性質が強かった。
・自国兵士の生命を最優先し、高々度からの爆撃攻撃が多く、誤爆により地上の一般市民に数多くの犠牲。
・多国間主義的枠組みをつくることができず。
・交戦法規の曖昧な運用。
・戦後復興支援の十分な準備が欠けていた。