金融の世界史 バブルと戦争と株式市場

金融の世界史 バブルと戦争と株式市場
板谷敏彦 2013 新潮社

内容、背表紙より

シュメール人が発明した文字は貸借記録の必要に迫られたものだった。ルネサンス期のイタリアに生まれた銀行・保険業大航海時代は自由な金融市場をもたらし、国家間の戦争は株式・債券の基を創った、そして今日、進化したはずの国際市場では相変らずデフレ・インフレ・バブルが繰り返される…人の営みとしての「金融」を通史として俯瞰する試み。

感想

社会の要請で金融制度が整備され改良され、今後は逆に、その発達した金融制度により社会がぐんぐん動いていく。加速していく。そんな歴史がかいま見えた。

歴史の裏。時代時代、文化文化で、人々の悲喜こもごももうっすら浮かび上がってくるよう。

当方、金融に明るくないので本書を読むスピードが非常に遅く、なかなか苦しかった。金融方面の勉強がまだまだ必要のようだ。

メモ

(「金融」という語句は、福沢諭吉が『西洋事情』で記した「金貨の融通を盛んにし世の便益となり」の「金貨の融通」を短く省略したものか)p3

「金融は戦争の軍資金集めに利用されてきた一方で、国債を発明し、会社を誕生させ、才能ある望む者に資金を提供する役目を果たしてきました。鉄道の敷設を助け、飛行機を開発し、新薬の発見を促し、インターネットによる情報網が世界を覆う手助けをしてきたのです。」p8

「人間が記録の必要性に直面し、文字を発明することになった最初の同期は在庫の管理であり、取引や会計などの経済活動にありました。」p21

(初期の株式市場は、大規模な資金調達を必要とする鉄道株が中心。)p148

(日露戦争について)「金融史の観点からみると、金子堅太郎の米国における国家宣伝活動や高橋是清による戦費調達の貢献度は陸海軍の戦功にも劣らないものがあります。」p156

(株式市場全体の値動きに連動するインデクスファンドの方が、専門家の相場観に基づく投資信託よりも高い収益を上げることが多い。)p256

(アメリカの株価指数は日本に比べ上昇しているように見えるが、インフレ率を考慮しないと、正確な評価はできない。)p274