ロートレック荘事件

ロートレック荘事件
筒井 康隆 初版H2 新潮社

内容、背表紙より

夏の終わり、郊外の瀟洒な洋館に将来を約束された青年たちと美貌の娘たちが集まった。ロートレックの作品に彩られ、優雅な数日間のバカンスが始まったかに見えたのだが…。二発の銃声が惨劇の始まりを告げた。一人また一人、美女が殺される。邸内の人間の犯行か、アリバイを持たぬ者は、動機は。推理小説史上初のトリックが読者を迷宮へと誘う。前人未到のメタ・ミステリー。

感想

叙述トリックだと事前に知っていたので、語りを念入りに読んだため、ある程度ミステリーの種がわかった。最後まで確信はもてなかったが。
ラストにある種明かしの部分では、これは何ページの何行目の種明かしですよ、と事細かに記されており、笑ってしまった。丁寧な仕事ぶりw

ただ、その種明かしもあまり事件の核心につながるようなものではなく、ページをめくりなおしてもカタルシスを得られなかった。

○この種の、叙述トリックの小説としては、割合ヒントをたくさんちりばめている方だろう。だまされながら読んでいても、十分矛盾を感じるよう語りが構成されている。

叙述トリックを楽しむ、という以外に特に何の感想・感情もわかなかった。物足りないし味けない。
登場人物たちに感情移入できなかったし、心を動かされるということもなかった。つまらない小説。