青春を山に賭けて
青春を山に賭けて
植村 直己 初版1971 文藝春秋
内容、背表紙より
家の手伝いからは逃げ、学校ではイタズラばかりしていた少年は、大学へ進んで、美しい山々と出会った。―大学時代、ドングリとあだ名されていた著者は、百ドルだけを手に日本を脱出し、さまざまな苦難のすえ、夢の五大陸最高峰登頂を達成する。アマゾンのイカダ下りもふくむ、そのケタはずれな世界放浪記。
感想
○山に対する強い思いと、周囲の人々に対する謙虚な態度、感謝の気持ちが端々で語られていた。こういう気持ち・姿勢が、決して経済的に豊かだったり特殊な権力を持っているわけではない著者に、数々のチャンスと栄光(偉大な記録)をもたらしたんだと思った。著者の人柄が幸運を引き寄せたのだ。
○アフリカでネパールでと、現地の人々が登山者に雇われ目標とする山への導き手となるわけだが、その彼らの生命力、体力、野性的注意力の非常な高さがうかがえる話がいくつもあり、それが印象的だった。
○アフリカのマサイ族の話で、その女たちが自動車や自転車の部品で自身を着飾っていた、という話もまた印象的だった。
どの世界も一緒なんだなって。美に対する欲求があるからこそ人間は美しい。