おくのほそ道 まんがで読破

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おくのほそ道 まんがで読破
松尾芭蕉 マンガ化した人物不明 2011 イースト・プレス

内容(背表紙より)

江戸時代、草庵暮らしをしていた芭蕉は、江戸深川からみちのく(東北)を目指し旅立った。先人たちの残した名所・旧跡を訪ね歩き、またみちのくの美しい自然と土地の人々との出会いをとおし、みずからの俳諧の道をさらに高めた―。300年以上の時を経て、今なお色あせず輝きを放ちつづける紀行文学の最高傑作を漫画化。

感想

○原作は未読。マンガ化した本書であるが、芭蕉の生い立ちや周辺情報をうまく織り込みつつ手に取りやすい作品としてまとめている。

芭蕉は本書の中で旅行を通し、歌枕を訪ねたり西行の足跡に思いをはせる。古典文学と日本の伝統美を再確認し、そして追体験する旅といえよう。

旅にでて、各地の風景や人々との交流を通し驚き感動し、また土地に刻まれた古人の伝統と鋭敏な美意識に思いをはせる。そんな本書を読んでいて僕も旅に出たくなった。軽いものから本格的なものまで旅の好きな人は多いと思うが、日本人として旅本のバイブルになりうるのではないか。原作をちゃんと読んでない身で言うのも何ですけどね 笑

○有名な句である、「五月雨をあつめて早し最上川」。
本書によると、川下りをする中で読んだものらしい。
そのことを知ると、句のスピード感や重厚感、驚きが全然増したような気がした。

○「もろともにあはれと思へ山桜花よりほかに知る人もなし」という歌を知った。
行尊僧正が山伏修行をしていたときの歌らしい。

いい歌だなあ。生命をに内在する孤独と、互いに慰撫するそれを和らげようとする生命を嘆じているのだと思った。

○「荒海や佐渡に横たふ天の河」という芭蕉の句を知った。

いい句だなあ。対比と類似を駆使し、流刑の地として佐渡に刻まれた悲しい歴史がこんなにも美しくこんなにも慄然と凝縮されている。