まんがで読破 破戒

まんがで読破 破戒
原著島崎藤村 漫画化した人物は不明 2007 イースト・プレス

内容、背表紙より

封建的身分差別が残る明治時代。青年教師・瀬川丑松は父の戒めを守り、素性を隠し暮らしていたが、同じく被差別部落出身の解放運動家・猪子連太郎の行き方に感化されてゆく。
ある日、丑松の素性を疑う人物が現れ、生活は一変する…。

感想

○主人公は葛藤する。主人公はエタの生まれ。迫害を恐れその生まれを必死に隠そうとする心情と(それは主人公の父が自らを犠牲にしてまで息子に願ったことでもあった)、エタの生まれを告白することで差別の理不尽さ説きどうどうと生きていきたいとする心情。この二つの心情の間で揺れ動くのだ。

そして片方の選択は、父からの「戒」めを「破」ることにもなる…

○なんて社会的に大きな問題と意味をはらんだ葛藤だろう。間違いなく社会的にも歴史的も価値をもつ本だと思った。
こういう葛藤を個々人がもった末、現代の自由で豊かな社会があるのだ。
それに比べ自分の葛藤の次元の低さ、小ささといったら・・・。

○ご都合主義的な展開だ、と感じる部分も少しあった。