まんがで読破 吾輩は猫である

まんがで読破 吾輩は猫である
原著夏目漱石 漫画化した人物は不明 2010 イースト・プレス

内容、背表紙より

「英語教師・珍野苦沙弥(ちんの くしゃみ)の家に住みついた一匹の猫。自らを「吾輩」と称し、発達した知識を持つ名無し猫が、自身の視点から見た人間世界の滑稽さや、珍野家を取り巻く個性的な人物たちの生態を面白おかしく、鋭く風刺的に 批評してゆく……夏目漱石の処女小説であり、出世作ともなった近代日本を代表する不朽のユーモア小説を漫画化。

感想

○マンガ化されたものなわけだが、語り手であり視点人物のでもある猫の豊かな表情がよい。
表情で心情を伝えるというのは、小説ではそうそうできる方法ではないだろう。
言語化せずに、登場人物たちの心情を表現するか? というのは芸術における一つの肝だと思うが、マンガはわりあいそれがシンプルに実現できるな、と思った次第。

○猫は家畜化された動物だ。本書のように絵にして多彩な感情を顔面で表現できる点(みかたを変えればそれに読者が違和感を感じない点)、人間に近しい生き物であることが分かる。
猫のそういう面が人間に愛され、そしてそういう面をもつ猫ほど愛され人間社会でうまく子孫を残し、かくして現在にいるような猫と猫観が醸成されていったのだろう。とあらためて本書を読んでいて思った。