まんがで読破 古事記
まんがで読破 古事記
漫画化した人物は不明 2010 イースト・プレス
内容、背表紙より
もはや教育の現場から姿を消した「神話」。なぜ神話が存在し、人々は神を崇めるのか?
古来より人々は歴史を神話に例えて語り継いできた。それを日本で初めて文字として書き記したのが文官・太安万侶である。
有史以来、長い日本の歴史を紐解くべく、数世紀にわたる編纂を経て伝えられてきた日本最古の歴史書のひとつを漫画化。
感想
○神話のなかには、何らかの意味が込められていると考え、それを見出そうとする立場でマンガ化されている。
僕は、正直こういう読みには賛成できない。もちろん、意味が込められている場合もあろうが、そうでない場合も当然あろうし、現代に残っている知識では読み解けない場合もあろう。そんななかで神話のなかから意味を見出そうとしている本書であるが、強引で無茶な解釈だったり、あまりに現代的な価値観によっていたり、天皇系列の神々を批判しないような一面的で浅薄な読みをしていたりと、分析や解釈が成功しているとはお世辞も言い難かった。
いや、はっきりいってしまおう。本書はその一部において、トンデモである。
○日本神話に関する本をいくつか読んだことがあるが、そういう知識をふまえ、本書の古事記解釈は、いままで聞いたことのないようなものが多かった。もちろんだからといってすぐに否定するものでもなかろうが、学術的に定番の「読み」を紹介しているわけではなさそうだ。本書は入門者向けのものであって、当然、そういうものには評価の高い「解釈」を載せるべきだろう。
○ただ上記で批判したわけであるが、おもしろい解釈も紹介されていて、それはいずれ自分で検証してみたいなとも思った。