まんがで読破 夜間飛行

まんがで読破 夜間飛行
原著サン・テグジュペリ 漫画化した人物は不明 2008 イースト・プレス

内容、背表紙より

航空郵便の黎明期、南米路線を運営するリヴィエールの指揮の下、飛行士たちは己の命を懸け、前人未到の危険な夜間飛行に挑んでいた。事業の確立のため、あえて冷徹に部下と接するリヴィエールだが、ある夜、勇敢な飛行士・ファビアンの機体が遭難してしまう……。自らも飛行士としての経歴を持つ作家・サン=テグジュペリのベストセラーを漫画化!

感想

○本書は航空郵便事業の南米支配人「リヴィエール」とパタゴニア路線操縦士「ファビアン」の2章から成るが、マンガは(原作未読)、自分の仕事の意味に悩みつつも不屈の精神で事業繁栄のため行動し続けるリヴィエールの物語であった。

プレイヤーではなく、管理職に焦点を当てている物語だ、といえよう。

○夜間飛行。全ては昼夜問わず走り続ける列車に負けず、郵便を早く届けるため。
暗闇のなか、わずかな月明かりと計器の示す数字、肌で感じる空気の様子、エンジンの音などをたよりに脆弱な飛行機で、危険な空、死神のごとき山々を越える操縦士たち。

吹雪に巻き込まれ死線をくぐり抜けたペルランは、飛行場に到着してこう言う。

「今日もすべて俺のものだった!! 町も山も平原も・・・アンデスの山風さえ!俺は・・・征服した・・・・・・」

全身の神経を研ぎ澄ませて俯瞰的な視点を手に入れ、そして文字通りの死線をくぐりぬける彼らのみた世界のいかに厳粛なことか!
そうやってはじめて得られる彼等の充実感の、なんと高貴で、その一方でまたなんと脆いことか!