まんがで読破 車輪の下

まんがで読破 車輪の下
原著ヘルマン・ヘッセ 漫画化した人物は不明 2013 イースト・プレス

内容、背表紙より

19世紀ドイツの地方出身の優等生、ハンス・ギーベンラートは、周囲の期待を一身に背負い、神学校に通うための州試験に挑む。猛勉強のかいあって2番の成績で合格するが、厳しい学校生活になじめず苦悩するようになる。
学業に縛られたひとりの思春期の少年が、孤独と苦しみにさいなまれながらも成長する、ヘッセの自伝的物語。

感想

○主人公はクソ真面目な性格から神経を病み、酒によってちょろちょろするなか溺死ししてしまう。ただ、実際のその場面はマンガではカットしていた(原作は未読なんでしらないが)。ようは自殺に近いのか事故に近いのかよくわからないのである。
なんで散々、その破局に至る道筋を描いていて、究極の結末をぼかすんだ?って思った。そこは変に逃げないで、きちんと描ききるべきだ。

○主人公の葬儀に際し、その家庭のお手伝いさんは次のように述べる。

「生きてりゃいろんなことがあるさ 喜びも悲しみもね あたしらには両方必要なんだ けど忘れちゃならねえのはそいつらを選んでいるのは自分ということさ、よくも悪くもね それが生きてるってことなんだろうさ」

理解力のある地頭や地道に問題に取り組むねばり強さ、応援してくれる村人、家族、交流を重ねた友人。
主人公は、もちろん完璧ではないだろうが、それでも多くのものをもっていた。いやむしろ恵まれているほど多くの才能をもち、周囲の人々にも恵まれていた。
しかしそんな彼も結局、神経を病んで破局へと至ってしまう。

この残酷な結末でのおばさんの言葉。我が身を振り返っていろいろ考えてしまった。

そうだ、
人生喜びを感じることもあれば、つらく思うこともある。そしてどっちに思うかを決めているのは自分なんだ。
もし自分を追い込んで、新しく始まるはずの1日1日を気持ちをいれかえてスタートできないのだとするならば、それは自分の見方の問題なんだ、と。自分の見方を変えることで解決できるはずなんだ、と。