視点をずらす思考術

視点をずらす思考術
森達也 2008 講談社

内容(「BOOK」データベースより)

空気を読むのをやめてみないか!メディアの常識に従わずに世界を見つめる試み。

感想

 たわいない本。
 「視点をずらす思考術」というタイトルをうちながら、中身は自身の主張を述べた短文を集めただけ。タイトルに惹かれ、本書を手に取った人は、視点をずらす思考「術」を知りたいはず。森氏の政治的主張を読みたいと思ったからではない。
まあ、(世間の常識やマスメディアの言説と少しずれた視点をみつけよう、もとう)とか、
(世界は多面的なので、視点をずらし、いろいろな角度から物事をみよう)、という重要な指摘をしていて、その再確認にはなる。しかし上記のことは常識に過ぎず、再確認になる程度の本ということだ。
なお、こんな常識的な主張をあげたぐらいでは、とても「術」とはいえない。

 タイトルと中身がずれているという点で、誠意がない本だ。内容的なまとまりも希薄で、森氏が平生主張していることに、よっぽど興味を持っていないと、読んでいてつまらないだろう。
 僕は基本的に、森さんの主張に共感するところが多い。ただ、森さんは憲法9条維持派だが、僕は改正派である。