「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート

「ニッポン社会」入門 英国人記者の抱腹レポート
コリン ジョイス (著),谷岡 健彦 (翻訳) 2006 日本放送協会出版

内容、カバー折口より

日本社会について手っ取り早く学びたければ、近くのプールに行ってみることだ。規則と清潔さを愛し、我慢強く、大きな集団の悪事に寛容な国民性が理解できるはずだから。過剰なまでに礼儀正しく親切な人々、思ったより簡単で奥深い日本語、ガイドブックには載っていない名所の数々…。14年間日本に暮らす英紙記者が無類のユーモアを交えて綴る、意外な発見に満ちた日本案内。

感想

○外国人の目を通し、日本の特徴、日本について思ったこと・考えたことをユーモラスに述べた本。
話題は種々にわたり日本という国柄、人柄についていろいろと考えさせられる。礼儀正しさに関する指摘が多かったかな。

また、西洋では日本はよく知られておらず、日本に関するセンセーショナルな記事が好まれ、ジャーナリストである著者自身も、過去、そのような方向で記事を書かざるを得なかった、といったメディアの内幕も披露されている。もちろんこのような、異国のエキゾチックな面にばかりに人々は関心をもち、本当に大切なことや、多様な視点が報道されがたいという事情は日本も全く同じだろう。

○本書からは日本と、著者の故郷であるイギリスに対する愛情が伝わってくる。もちろん愛しているからといって、その国のやり方に100%賛成しているわけではない。日本のばかげたルールやシステム、同調圧力に対する批判も表明している。
しかしそれでもなお、著者は日本とイギリスのそれぞれの良さを大きく評価し受け入れ、そしてそれに愛おしさを覚えているのだ。

○もう一つ印象に残ったのが、外国人である著者は「日本人ではない外国人」として常にみられているんだな、ということ。流ちょうに日本語を繰ったら相手が一瞬無反応だったり、納豆の話題をいろいろな人から振られたり、と。
著者は長年日本に住んでいるという点、そして外からの目で日本を見ることができる点で、むしろそこら辺の日本人よりはるかに日本のことをよく知っている。
にもかかわらず、、、西洋人であるという外見から、「日本」に属する人間ではないとみられ、好奇の視線をときに浴びるのだ。このような傾向は、国際化にともなってだいぶなくなってきたとは思う。しかしたとえ時代とともに薄くなってはいても、異人だとして著者に注がれる日本人の視線は積み重なり、のっぺりと著者を覆っているように感じた。