道交法の謎 7500万ドライバーの心得帳

道交法の謎 7500万ドライバーの心得帳
高山 俊吉 2004 講談社

内容(「BOOK」データベースより)

不合理、不公平がまかり通る!これでいいのか!?実態にそぐわない規制、不意打ちの取り締まり、裁判抜きの処分!その結果、国民の大半を“犯罪者”にしてしまう法律・道交法。誰も知らないその謎をNo.1交通弁護士が明かす。

メモ

「日本が国民主権の国であるという話が本当なら、交通安全をどのようにして実現するのか、交通事故の死傷者をどうやって減らしていくのかという議論が、開かれた場で行われ、その実現のために道交法のような法律が作られていくべきです。しかし現実には、科学的合理性があるかどうかが不明な規制や、恣意的とも思われる取り締まりがひとり歩きしています。国民は主権者ではなく、単に「取り締まられる対象」でしかないかのようです。」p4

感想

○道交法の問題点をいくつも指摘している。なるほどと思ったところをざっくばらんにぬきだしてみると、
・誰も守っていない。守る必要があると思っていない。警察官も大事な規制だと思っていないふしがある。
・不条理な規制が多い。広く真っ直ぐで歩行者もほとんどいない道も50キロ規制。
・規制に科学的な裏付けがない。
ねずみ取りを、速度を出すのに危険なところではなくスピードを出しても安全なところでやっている。その方が捕まえやすいから。このような取り締まりの在り方は問題では?
・レーダーによる速度測定は誤検知がある。
反則金が警察関連団体の収入になっている。収入のために違反を摘発することになってしまう。反則金の収納先を警察の手から離し一般財源化すべき。
・感傷で厳罰化を進めても、事故の減少にはつながらない。不注意がないよう喚起したり、不注意があっても危険が発生しないようにしていくべき。

○現状と道交法との乖離、そして摘発件数をみれば、道交法による摘発というのは必ずわが身に起きることといっていい。道交法にどのような問題点があるのか、そして道交法はどのように運用されているのか、知っておくことは大切だろう。

また事故処理の実態についても本書は整理している。事故についても、誰にでも起きることだ。事故処理の流れについてもぜひ知っておく必要があると思う。

○いろいろと勉強になる本書だが、警察に対する反発心が端々で吐露され、冷静で着実な議論を妨げていると感じた。
自動車は大変便利で転がして楽しいものだが、容易に凶器に転ずる非常に危険なものでもある。そういう視点ももう少しふまえつつ議論を進めたほうが、多くの人の賛同を得ただろう。