臆病者のための株入門

臆病者のための株入門
橘 玲 2006 文藝春秋

内容、カバー折口より

ふつうの人でも、あらゆる株必勝法のインチキを見破り、カモられずにお金を増やせる方法がある!株をやらないつもりの人でも思わずやりたくなる、クールで知的な株入門。

感想

○このような金融関係の本について、とても僕ごときが評価したりろくな感想を述べることはできない。論ずるのに必要な知識がないから。

本書は、とりあえずこうすれば株式投資は100%うまくいく! みたいな安っぽい断言はなく、また株式投資により金持ちになれるぞ的な煽るような記述はない。むしろ株式投資の恐ろしさ、デイトレードにおける精神負荷などを述べている。そして、一つの結論を押しつけるのではなく、投資者のスタンスによって資産運用も異なってくる、と冷静に整理しているため、ある程度、本書の内容は信頼して良いのではないかと思った。

○基本的に株式投資について以下のことを主張していた。
分散投資
長期投資
国外のシェアに応じて国外にも投資を。

○インターネット上でも、肯定的に評価する声が多かった。

メモ

「株式市場はひとびとの欲望が生み出した巨大な迷宮(ラビリンス)だ。」p12

(複利レバレッジが、株式投資で巨額の利益が出ることのある理由)p37

(デイトレードゼロサムゲーム。得をした人の裏に泣きをみた人がいる。デイトレードはギャンブル。確実に株価推移を読むことはできない。)p72

(チャートでもうける方法が、そこら辺に転がっていることは絶対にない。)p75

(必ず儲かる取引に第三者が加わる余地はない。ぜったいにもうかるという話は詐欺。リスクがあるから投資の話がまわってくる。)p94

(株式は、損は出資金までという「有限責任」。だから安心して買える。)
「株式市場とは、損を薄く広く分散させるためのシステム」
「損を限定することでみんなを冒険的にする」
「株式会社=「資本主義」は、ひとびとをイノベーションに駆り立てる仕組み」p96

(株式評論家の株式予想を検証した学者がいたが、結果はランダムで投資銘柄を選んだ方が成績が良かった。世間のしがらみがガブ式評論家の予想に悪影響をもたらした?)p139

(株式市場のシェアと同様の割合で分散投資を、長期間にわたって行うことが経済学的に最も効率的(理由:リスクとリターンを効率よく平板化+経済は拡大する+じたばた売り買いすると手数料で損するから)。
言い換えれば、世界市場全体にその市場の割合で投資すること。ゆえに国外に比重をおいて(国外の経済シェアは85%に達する)、グローバルにインデックスファンドに投資するのがよい。)p142