政治家の殺し方

政治家の殺し方
中田宏 2011 幻冬舎

内容、出版社ウェブサイトより

37歳という若さで横浜市長となった。だが、事実上、政治家として殺された。ある日、突然襲った謂れのないスキャンダルの嵐。その身の潔白は、すべての裁判で勝訴をおさめたことで証明された。 では、いったいなぜそのようなことが起こったのか? 裏には何があったのか? 読者から「知ってよかった」と大反響の、日本の「政治・社会の真実」とは。 全組織に共通する病根がわかれば、日本は変わる!

感想・メモ

政治界が魑魅魍魎であることを感じた。
「政治家の殺し方」というタイトルである。著者が横浜市長時代に、自身を政治家としてをおとしめるための根拠なきでっち上げが蔓延させられ、信用が失われ、政治生命が危機に追いやられる様子が、記されている。
身に覚えのない女性との醜聞が広められたということだ。裁判で、中田氏が勝訴している以上、中田氏の事実無根のでっち上げであるとする主張を受け入れ、この問題点を考え、議論していくべきだろう。

○氏は、各種業界団体や公務員の既得権益の構造に手を入れたからこのような根拠のないスキャンダルが広められたという。事実はどうであるか、私に判断することはできないが、いかにもありそうな話である。

○政治家の回想録を読むのははじめて。書けないこと、書いていないことがたくさんあるとは思う。しかしそうであっても、政治家の話というのは自然、組織を、世界を変えていこうとする話になる。なかなかおもしろかった。
また、このような損得勘定をベースにした何でもありのどろどろの内部事情を知ることは、「大人」になっていく上で大事かもなあ、と最近思うところ。

○根拠のない醜聞を広め、敵対する人物の信用を落とすこと。勝てそうになくても裁判を起こし、相手に多大な手間と精神的ストレスを与えること。これらが本書では問題提起されているが、確かに、考えていかなければならない問題だと感じた。(恫喝目的の訴訟をスラップというらしい)

ただ、著者に対し疑問点もある。
既得権益に手をつけたのは著者だけではない。なんだかんだ言って多くの政治家が既得権益に手をつけている。小泉元総理しかり、橋下市長し狩り。他にも僕が知らないだけで改革を成した政治家は多数いると思う。にもかかわらず著者が特に大きな被害を受けたというのは、著者の脇が甘いのか、政治力がない証左なのではないか?

○地方議会は、陳情が通りやすくなるということもあり、自民党民主党公明党が協力し、オール与党になりがち。行政チェックが甘くなる。と地方政治の問題点を指摘。