電波利権

電波利権
池田 信夫 2006 新潮社

内容、カヴァー折口より

「電波」という観点から見ると、テレビ局はとてつもない「既得権益集団」である。タダで貰った電波を無駄遣いする、電波利用料を携帯会社にツケ回す、政治家に媚を売り新規参入を妨害する、ほとんど無意味な「デジタル化」を進めてインターネット放送を潰す…。公共財であるべき「電波」が私物化されているのだ。「電波利権」の驚くべき構造を描き出し、「電波開放への道」も提言する論争の書。

感想

電波利権。
なじみのある言葉になった。ネットで池田信夫氏が問題として何度も指摘してきた影響は大きいと思う。
テレビの番組批判に対し、テレビ業界の人間の(イヤなら見るな)、という反論をたまにみる。しかしその反論に対し、すぐ、(電波はみんなのものだ。ゆえに誰だって自分の考えを述べ、議論する権利がある)という再反論が提出されるのも、氏のおかげだろう。

テレビ局や電波行政の批判が雑多に述べられている。簡単にまとめると、「電波帯の分配とその利用は公平でない」、「電波帯の分配とその利用は効率的でない」といったところか。また、国主導のテレビや携帯の通信技術の標準化が、いかに失敗してきたかということも論じている。

関心をもった主張を抜き出しメモしておきたい。
○携帯の電波利用料は、その電波帯の使用域に比べて極めて高い。
○使いやすい電波帯を、重要性が遙かに高い携帯電話や無線LANにまわすべき。
○今後、映像や音声もインターネットプロトコルでやりとりされるだろう。

電波の分配をどういうシステムにするべきなのか?
現在の市民と、そして何よりこれから生まれ、日本を担っていく市民に大きな影響を与える以上、もっと議論されるべきではないか。

あれぇ、結局のところ、(よく話しあえ)っていう結論でお茶を濁し、何も主張していないという点で、僕の大嫌いなマスメディア定番の論調になってきたぞw
まあ、あれだ。電波行政に関し、いろんな情報・データや、議論を読みたい。社会でもっと問題になってほしい。