日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか

日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか
竹田恒泰 2010 PHP研究所

内容、カヴァー折口より

マンガ・アニメが席巻し、世界はいま空前の日本ブーム。しかし理由はそれだけではない。食文化、モノづくり、日本語、和の心、エコ―あらゆる日本文化に好意が寄せられている。それなのに自分の国を愛せなくなったのはあまりにも悲しい。なぜ『ミシュランガイド』は東京に最多の星を付けたのか?どうして「もったいない」が環境保全の合言葉に選ばれたのか?「クール・ジャパン」の源流を探ると、古代から綿々と伝わる日本文明の精神、そして天皇の存在が見えてくる。

感想

読む前から想像し恐れていたとおり、議論がすごくいい加減。たとえば、表題の、《日本は世界でいちばん人気》という主張は、近年のBBCの調査「世界によい影響を与えている国」で最上位だったことを根拠にしている。補足説明もなしに、「世界によい影響を与えている国」=「世界で人気」って、議論が甘々では?
いい加減な議論をしながら日本のいいらしいところを主張していく本。
日本にはいっぱいいっぱいいいところがあることは僕も認めるよ。民族性も好きだし、自然も好きだ。人が自然を征服しまた敬ってきてつくり上げた風土や伝統も好きだ。命のやり取りが積み重なった歴史も好きだ。日本の数奇な運命が産みだした文学も好きだ。知的なことが話せる日本語も好きだ。
ただ、悪い点悲しい点も直視する必要があるときには直視しなきゃ。
だいたい、「家族の和や地域の和、国同士の和、大自然と人類との和」を「大切に育んできた」とか、日本には宗教戦争がなかったとか書いているけど、頭ん中、どんだけお花畑なんだよ。不勉強にもほどがある。
「日本」を他のどんな国に置き換えても通ずるような、根拠もなく、俗説に花を咲かせ現実から目をそらすひどい本。

もう少し勉強してから持論を書いて欲しい。あと、こういう人たちの本は、日本をマンセーするだけで、国益に対する戦略的な見方がないんだよなあ。
ね、こんな言説が出てくるあたり、僕がいわゆる左翼じゃないって分かるでしょ?
エセ国粋主義者もいい加減、知的に人を説得できるだけの知識と議論を積み上げられないものか。