ひらめき脳

ひらめき脳
茂木 健一郎 2006 新潮社

内容、カバー折り口より

ひらめきは一部の天才の脳だけに起こるものではない。すべての人間の脳にその種は確実に存在している。突如「Aha!」とやって来て脳に認識の嵐を巻き起こす、ひらめきの不思議な正体に、最新の脳科学の知見を用いて迫る。ひらめきの脳内メカニズム、ひらめきを生み易い環境、「ど忘れ」とひらめきの類似、感情や学習との関係は?創造の瞬間を生かすも殺すもあなた次第。不確実性に満ちた世界をより豊かに生きるために、ひらめきをこの手でつかみ取ろう!

感想

許容できない論理の飛躍が多すぎる。
ある言葉と、全然違う言葉が、説明もなしに突然結びつく。イコールされる。わけわかんない。
また、根拠のない思い込みも多く、さらさらと読めない。
言葉の使い方も雑。論理の展開も雑。
雑な雑な議論。
内容に関して評価する以前の問題。

茂木さんがネットの中で発信している主張や、行動力には大変共感しているし、応援している。
ただ、文章になると、丁寧な議論をできない人なのかな。あるいは、バカな大衆にレベルを合わせた?
いやいやそんなことはないだろう。大衆向けでも、丁寧に議論を進めている本はいくらもある。となると、前者、つまり文を書けないのだろう。そうでなければ、単なる不実だ。

それと進化生物学の知見を取り入れた方がよい。

不確実性に対応するために「感情」が進化したと主張しているが、僕は同意しない。理由もはっきり書いていないので、そもそも反論もできない。人間の感情も、環境への適応の産物だとうのは当然だ。しかし不確実性への対応という点で絞れば、それは感情ではなく理性だろう。不確実な中で確実性を高めるように発達してきた「理性」の方だろう。
もっとも、ひらめき(創造)には感情に着目する必要があるという主張には、賛成する。
筆者の論理はブルンブルン跳ぶので、こうやって各主張を別個に検討せざるを得ない。

メモ

(コンピューターの発達により、コンピューターにできないひらめき(創造性)の重要性は近年、増大)

(ひらめき(創造)は、「体験(記憶)×意欲」ではっきされる)p117

(不確実の世界だからこそ、ひらめきはありうる。)p138

「九十パーセントは目的を達する努力に費やしたとしても、残りの十パーセントは、その途中で出会うまったく予想していなかったものに

対応していく。そうでなければ思いがけない発展もあり得ないのです。」p175