ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法

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ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法
ちきりん 2011 イースト・プレス

内容(「BOOK」データベースより)

月間100万PVを誇るブログ「Chikirinの日記」の筆者による「毎日を楽しく生きるための極意」。

感想

はてな界隈で人気のブログ「Chikirinの日記」を運営されている「ちきりん」さんの著書。このブログは僕も大好き。提示されるおもしろい「ものの見方」にいつも、(なるほどなあ)と思わされている。

主要な主張は、タイトルの通り、「ゆるく考えよう」。幸せに、そして自由であるにはどうすればいいのか?
著者が見いだした一つの答えがそれだ。

本書のほとんどはブログの記事を下書きにしたものだが、内容がよければ僕はそれでかまわない。もちろん、ちきりんさんの新しい文章をたくさん読みたい気持ちもあるのだが。

本書やちきりんさんのブログでよく感じるのが、上記した斬新な視点と、それから価値基準を「自分」にすべきだということ。たぶん、「ゆるく考える」の中身はここにある。
現代は、さまざまな価値観やデータ、正義が氾濫しつつ、それでもやっぱり旧態依然とした「正しさ」の押しつけに縛られた時代だ。この「正しさ」を押しつけるのは、もちろん行政や司法、立法、大企業、マスメディア、広告代理店もあるが、私たちの構成するコミュニティ自身も、その歯車に乗っかかり、かつその歯車を回す駆動装置となっている。
(こうしなきゃならない・こうすべきだ)という「常識」がなお生きながらえつつ、かつさまざまな価値観が氾濫した時代。それが現代の一つの特徴ではないだろうか。

価値基準を外に置かない、「自分」に置くというのはなかなか難しい。しかし、そうしよう! 自分で考えよう! 自分の気持ちに素直になろう! 自分の思いに従おう! それが幸せに生きる秘訣だ! 本書はそう主張している、と思う。

ただ、違うあり方を比較せず、自分の価値観に盲目的になるのはバカだ。社会の害になるバカだ。
その点、価値観のあふれる現代というのは、それを防ぐ上で、いい状況にあるといえるだろう。
当然、いくら情報が満ちているとはいえ、他のあり方、価値観を自ら知ろうという態度を教育することも大事だが。

メモ

「「本当にほしいモノ」を峻別すること。「自分のオリジナルな欲望」を取り戻すこと。大量供給、大量消費社会における逆説的な贅沢に、ぜひ挑戦したいものです。」p59

(数十年で変わることについては、年配者のアドバイスは無用どころか害。一方人間の本質に関わるようなことは役に立つ)。「実はこのことをさらに一歩進めると、より大事なことが見えてきます。それは、「人として、人の関わりにおいて、体験し、感じ、成長してこなければ、後輩に残せる言葉は一つも得られない」ということです。いくら社会的に立派なキャリアを積み、ビジネスで大成功しても、それらから得られた学びは次の時代には通用しません。」p73

「人生には進学、結婚、就職、転職など様々な決断点があります。そのたびに人は真剣に慎重に考えます。でも自分は自分の人生に強いこだわりがあるため客観的な判断ができず、そのために間違ってしまうのです。」p75

「「お金を払うより、お金を稼ぐ方が学べるし成長できる」というのは一般的な法則です。大学も同じで、学費を払って1年間学生として勉強するより、一定の講師料をもらい1年間授業を任されたら、そのほうが圧倒的に多くのことを学べるでしょう。」p95

「必要なのは、「将来、世の中で求められること」を予測して準備すること」p138

「企業にとって大事なのはアウトプットであり、日本がここまで経済成長したのは高い質のアウトプットが多かったからです。アウトプットなしにインプットし続ける人が増えたら、将来はとても暗い。そしてこれは個人にとっても同じです。勉強ばかりしていて何も生みださない人が増えては、経済が成長するはずがありません」p151
「大事なことはインプットではなく、「アウトプットにつながるインプット」なのです。」p152

(仕事を早くできるようになりたければ、働く時間を減らすこと。時間が無制限にあれば、人は生産性を上げようとは考えない。
残業をしないと決めて実行してはじめて、仕事の方法を工夫したり、不必要な仕事を仕分ける。)p153