ゴルゴタ

ゴルゴタ
深見 真 2007 徳間書店

内容、「BOOK」データベースより

妻が惨殺された。妊娠六ヶ月、幸せの真っ只中だった。加害少年らに下った判決は、無罪にも等しい保護処分。国も法律も真田の味方ではなかった。憤怒と虚無を抱え、世間から姿を消した真田は…。全てを失い、全てが始まった。男は問う―何が悪で、何が正義なのか、を。灼熱の弾丸を冷徹に放つ、新進気鋭渾身の巨編。

雑感

妻とお腹の子を惨殺された男の復讐譚。
知力、武力、経験ともに、日本最強ともいえる元自衛官が暴走したらどうなるか。その徹頭徹尾、冷徹ではちゃめちゃな復讐劇を楽しむ小説。(どこら辺でひねりがくるかなあ)と思いながら読んだんだけれど、特にひねりもなく、ある意味裏切られて、おもしろかった。主人公の苦悩は突き放されて描写されている印象。感情移入できるだけ悩みを深めていないとも言えるかもしれないが、むしろ少し狂った主人公のキャラ造形にふさわしいと感じた。ほとんど内容はないのだから、このくらいあっさりしている方がいい。
武器の描写が濃密で、人間としてもつ心の凶暴な部分をくすぐられた。