文化記号論 ことばのコードと文化のコード

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文化記号論 ことばのコードと文化のコード
池上 嘉彦,山中 桂一,唐須 教光,(著) 1994 講談社

内容、背表紙より

文化記号論は、言葉を人間の心の働き、すなわち精神の創造的な営みとみなすことから出発し、文化現象のすべてを言語記号の総体として捉える。哲学・文学・社会学・人類学等、あらゆる人文科学の基盤としての中心的役割を担うに至った文化記号論の現在を多面的に考察。意味論・修辞学等の基礎理論から、記号論のめざすべきアクチュアルな課題までを明確に論じた、第一線言語学者による必携の好著。

感想

記号論という、モノノカンガエカタを俯瞰的にみる力を身につける上で役立つ概念が、とてもわかりやすくまとめられている。おすすめ!

メモ

「〈現実世界〉というのは、かなりの程度まで、その言語使用者の集団の言語習慣の上に無意識に築かれているのである。」p184


「文化という装置は、もともと自然の混沌に秩序を与えるために、人間が集団としてある意味では恣意的に創り出した記号体系であるが、一旦できあがるとそれは自律性を獲得し、逆にその創造者を呪縛するようになるのである。このようにして、人間はもはや文化という装置なしでは生きていけない存在になってしまったのである。」p185


「われわれの住んでいる世界は、ありのままの客観的世界ではなく、われわれの創ったシンボルを通してみられたものである。」p225


「「ことば」には自らの創りだした秩序を維持し、定着させるという保守的な一面と、それを超えた新しい秩序を自ら作り出すという革新的な面がある。」p272