議論のレッスン

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議論のレッスン
福澤一吉 2002 NHK出版

内容、カヴァー折口より

不毛な言い争いやひとりよがりの文章から抜け出したい人におくる「議論のルールブック」。本書を読めば、議論の構造が分かるのみでなく、会社の会議や国会中継、テレビ討論会、新聞のコラムを見る目が変わる。そして知らなかった自分の一面も見えてくる。

雑感

 論理について書いてある本だが、中でも「隠れた前提(著者は「論拠」と名付けている)」に重点をおいて解説している本だ。論拠とは簡単にいうと、《主張》とその《理由》の間には《論拠》という、《理由》から《主張》を導きだす元となる考え方が隠されている、というものである。
 ある程度、非形式論理学の勉強をしているので、目から鱗が落ちるということはなかったが、例えや具体例を用いて分かりやすく書いているところに好感をもった。論理の勉強は健全な「市民」になるために絶対必要だと思う。

メモ

 議論が成り立つ条件として、著者は次の2点をあげている。
 ①発言者の主張が明示されている
 ②発言者の主張がなぜ主張として成り立つかを示す根拠なり証拠なりを提示している。p27


 議論について学ぶメリット。
 ①刺激的な知的興奮を得られる。議論を分析的に把握できる。
 ②自分自身ですら気がついていなかった自分のものの見方、考え方を発見できる。p4


「主張の正当性は論証プロセスの正しさに依存している」p96