ルパンの消息

ルパンの消息
横山秀夫 2005 光文社


【内容紹介、「BOOK」データベースより】
「昭和」という時代が匂い立つ社会派ミステリーの傑作!平成2年12月、警視庁にもたらされた一本のタレ込み情報。15年前に自殺として処理された女性教師の墜落死は、実は殺人事件だった―しかも犯人は、教え子の男子高校生3人だという。時効まで24時間。事件解明に総力を挙げる捜査陣は、女性教師の死と絡み合う15年前の「ルパン作戦」に遡っていく。「ルパン作戦」―3人のツッパリ高校生が決行した破天荒な期末テスト奪取計画には、時を超えた驚愕の結末が待っていた…。昭和の日本を震撼させた「三億円事件」までをも取り込んだ複眼的ミステリーは、まさに横山秀夫の原点。人気絶頂の著者がデビュー前に書いた“幻の処女作”が、15年の時を経て、ついにベールを脱いだ。第9回サントリーミステリー大賞佳作。


【感想】
プロットがしっかりしているので、登場人物に感情移入しやすく、すらすらと読めた。
身体的な感覚を刺激するような描写が多い。本をただ読んでいる、ぼく自身も、登場人物が世界に緊張して対峙するように、はらはらした。この点は、特筆に値する思う。読書行為から、登場人物たちの行動によって動く空気のよどみを、何度か感じたのである。


ただもう少し、犯人の「狂気」が強調されて良かったと思う。この点に関しては、中途半端だと感じた。
それに、結末が強引だったなあ。