論理トレーニング

超おすすめ!!
新版 論理トレーニン
野矢茂樹 2006 産業図書


【本書表紙より】
外国語に向かうようにして、
日本語の論理を
見直してみること。
それによって、日本語が
本来もっている論理的
パワーが解放されてくる。


【雑感】
 論理学に関する問題と共に,多くの「例題」がついている。実際に問題を解き、つまずき、確認しながら、論理トレーニングができる。卒論をひかえた学部生は是非読んで欲しい。僕もこれを事前に読んでいれば、指導教官をまだ困らせることはなかっただろうと思う。


 ただ難点をいえば、例題の文に抽象的なものが多く、そもそも、例題の文の意味を理解するのにエネルギーがいった。そりゃまあ、世間にある文章を切りとってきたものだからしょうがないかもしれないけれど、論理トレーニングをするうえでは必要ない余計なエネルギーだったと思う。もう少しそこらへんが改良されたら、より論理トレーニングに集中できただろう。


【メモ】
「 論理は、むしろ閃きを得たあとに必要となる。閃きによって得た結論を、誰にでも納得できるように、そしてもはや閃きを必要としないような、できるだけ飛躍のない形で、再構成しなければならない。なぜそのような結論に到達したのか。それをまだその結論に到達していない人に向かって説明しなければならないのである。」p1


「思考の結果を、できるかぎり一貫した、飛躍の少ない、理解しやすい形で表現する。そこに、論理が働く。」p2


「論理力とは、思考力のような新しいものを生み出す力ではなく、考えをきちんと伝える力であり、伝えられたものをきちんと受け取る力に他ならない。」p2


「論理とは言葉と言葉の関係をとらえる力」p13


「「読む」とは、たんに印刷された文字の順に読んでいくことではない。まとまりをつけ、その関係を見てとっていく主体的な作業なのである。」p16


「議論の基本は、必要に応じて解説や根拠を伴った主張を、付加か転換の形でつなげていくこと、ここにある。」p48


「なぜ意見を主張し、議論を作るのか。それは多くの場合、自分と異なる他の考えに満足しないからである。それゆえ、自らの議論を生み出すことには、多かれ少なかれ他の意見に対する批判が含まれることになる。」p146