国のない男

国のない男
カート・ヴォネガット 金原瑞人訳 2007 日本放送出版協会


【出版社/著者からの内容紹介】アマゾンより引用
カート・ヴォネガット遺作、ついに刊行!


2007年4月に永眠したヴォネガットが2005年に本国アメリカで刊行し、NY Times
紙のベストセラーになるなど、往年の読者を超え広く話題となったエッセイ集。
2007年1月のインタビューで、本書が最後の1冊となることを明言したことで、
日本においても刊行が待ち望まれていました。


著者自身のイラストで彩られた本書は、ヴォネガットの憤りを含んだ言葉と、彼
の愛すべきアメリカや人類すべてへ向けた優しい文章が詰まっています。時には
ジョークで、また時には絶望的に、そして常に鋭く......。


翻訳には学生時代からヴォネガットを愛読してきた金原瑞人氏。またヴォネガッ
トへの愛を公言してやまない爆笑問題太田光氏からも、すばらしい推薦のお言
葉をいただきました。往年のヴォネガット読者にはヴォネガットの最後のメッ
セージとして、また初めて読む若者には、現代を生きることの意味を考える道し
るべとして、必読の書です。


【感想】
著名なSF作家のジョークエッセー集。
文はおもしろい。けれども内容が薄いなあ。
「なるほど!おもしろいな!」って思うことが、全然ないわけではないけれど、ほんのちょっとしかない(六章、「わたしは「ラッダイト」と呼ばれてきた」とか)。
中学二年生くらいが考える、よく言えば、純粋なこと、悪く言えば、誰でも思っているような指摘が多い。人類の、化石燃料中毒批判みたいなやつね。


http://www.amazon.co.jp/review/R21N3WOHOIGVFS/ref=cm_cr_pr_cmt?5Fencoding=UTF8&ASIN=4140812516&nodeID=#wasThisHelpfulに以下のような指摘があったけど、共感。本作の、あるいはヴォネガットを読む上での重要なポイントだと思う。
アメリカへの批判、人間がいかに愚かか、世界への絶望などを辛辣な言葉で語っているが、そのなかに垣間見られる、ヴォネガットの人間への愛情。」


一つ印象に残ったところがあったから、引用したい。p143


「 わたしは言った。「ソール(skycommu注・グラフィックアーティスト、ソール・スタインバーグのこと)、きみは(skycommu注・芸術の)才能があるのかい?」
 六秒後、彼はうなった。「答えはノーだ。しかしどんな芸術においても、いちばん大切なのは、芸術家が自分の限界といかに戦ったかということなんだ」」


《20081205の記事》