文学の新教室

文学の新教室
佐久間保明 2007 ゆまに書房


ビーケーワンの内容説明より】
文学ってなんだろう? 文学の概念から始まり、口承文学、詩、戯曲、小説、批評、随筆、記録文学、児童文学の各分野を取り上げ、定義することの困難さが繰り返し語られてきた文学特有の性質に迫る、文学への一般的な案内書。


【感想など】
☆口承文学や詩、戯曲、小説、批評、随筆、記録文学、児童文学、と章立てして、それぞれの文学形式の概念や形式を解説。


☆各文学形式の名著や有名な本が紹介されている。実際、記録文学などで読んでみたい本が結構紹介されていた。小説と比べ、記録文学や戯曲はあまり話題にならないから、特にそれらにおいて、本書は、名著案内としてつかえる。日本や海外の文学をバランスよく紹介していると思う。


☆海外や日本の研究者の引用が多く、それが本書の信頼感を生んでいる。


☆本書は、文学を学ぶ人の手引き書を目指してるという。そのためか教科書的でお上品な解説ばかりになっている。そこら辺が少しつまらない。もっと、先行研究に対する批判や、刺激的な意見があった方が面白かっただろう。本書は、あくまで基本というか、常識的なアイデアとして受け止め、それ以上の思索や批判は個人で行いたい。そう言う意味では本書はいい足がかりであり、そしてあくまで足がかり。


☆(「押韻の規則(例、漢詩の平仄)が成立せず、強勢と弱勢という区別も、音の高低による抑揚の波もない平板な音調をもつ日本語は、長大な叙事詩に向かない)、という指摘はなるほどと思った。その代わり、短歌や散文が発達したとのこと。


《20081120の記事》