ザ・ゴール(企業の究極の目的とは何か)

ザ・ゴール(企業の究極の目的とは何か)
エリヤフ・ゴールドラット著 三本木亮訳 2001 ダイヤモンド社


【カバーの裏の内容紹介より】
主人公アレックス・ロゴは、ある機械メーカーの工場長。長引く採算悪化を理由に、突然、本社から工場閉鎖を告げられる。残された時間は、わずかに3か月。それまでに収益体制を改善しなければ、工場は閉鎖され、多くの人が職を失ってしまうことになる。半ば諦めかけていた彼だったが、学生時代の恩師ジョナに偶然再会したことをきっかけに、工場再建へ向けて意欲を燃やし始める。
ジョナは、これまでの生産現場での常識を覆す考え方で、彼の工場が抱える諸問題を次々に科学的に解明していく。そのヒントをもとに工場の仲間たちとたゆまぬ努力を続け、超多忙な日々を過ごす彼だった。だが、あまりにも家庭を犠牲にしてきたため、妻であるジュリーは彼の前から姿を消してしまう。仕事ばかりか、別居、離婚という家庭崩壊の危機にもさらされたアレックスは……。


【本書の内容を簡単にまとめる】
 どのようにすれば、最適に工場を運営できるだろうか? 本書は工場長アレックスを主人公にして、小説仕立てで解説している。


 従来の製造の世界では商品のコストを最小限にすることが目指されていたらしい。しかし、本書の著者はそんなことが重要ではないと指摘する。工場を最適に運営していく上で最も重要なこと。それはスループット(販売を通じてお金を作り出す割合)を増加させることなのだそうだ。


 企業の目的・目標は継続的にお金を儲けること。その為に工場は何ができるのかといえば、少しでも多くの受注を受け、納期に遅れないように出荷することだろう。ちまちましたコストダウンと無駄な生産のせいで、それらが犠牲になっては元も子もない。生産することと販売することは違うのだ。企業は販売して初めて利益を得る。確かに著者の理屈は素人でもだいたい納得できるだろう。


 企業がお金を儲けるためにはスループットを増加させると共に投資収益率やキャッシュフローも増加させなければならない。その為に、従来のコストを重視してきた評価尺度を変える必要もある。


 スループットとならび本書で何度も出てくる単語に、ボトルネックがある。これは工場で必要とされているにもかかわらず一番処理が遅い工程だ。鎖でたとえるのなら一番弱い輪っかといえるだろう。鎖の強さは一番弱い輪っかで決まる。他の輪っかがどんなに丈夫でも、一番弱い輪っかの限界を超えたらぷっつりちぎれる。それと同じようにボトルネックは工場の生産量を決めるのだ。どんなに他の工程が早くても、ボトルネックがあれば生産量はそれに準ずる。だから無駄なく生産量を上げるためにはボトルネックを解消もしくは小さくしなければならないのだ。


 工場だけではなくボトルネックは、社会や人間個人にも見つけられそうである。


 本書の主張の簡単なまとめは以上。もう一つ別な主張をあげれば、目的達成のために自分の頭で「何を変える」、「何に変える」、「どうやって変える」かを考え改善していきなさいといったところか。


《20070807の記事》