知的複眼思考法

知的複眼思考法
苅谷剛彦 1996 9 25 講談社


『 ありきたりの常識や紋切り型の考えにとらわれずに、物事を考えていく方法ーーー私はそれを「知的複眼思考法」と名づけたいと思います。「常識」にとらわれないためには、なによりも、ステレオタイプから抜け出して、それを相対化する視点をもつことが重要です。複眼思考とは、複数の視点を自由に行き来することで、一つの視点にとらわれない相対化の思考法といってもよいでしょう。』


以上本文より。
こうして筆者は常識的に物事を決するのをやめ、種々の視点を参考にしつつ自分の頭で物事を判断する必要性を説く。


全くその通りで、私たちがマスコミや権力者に踊らされる間抜けな大衆から脱するためにまず必要なことである。そしてそれは、知的生活のために、幼いときから身に染みこませなければならない。


なお筆者はその為に、


批判的な読書(論の根拠、筆者の前提、筆者のねらい、本に記された事実そのもの、を考えること疑うこと)


さまざまな立場に立った反論を意識して文章を書くこと


問い(疑問)を立てること


定義を疑い自分で考えること


物事を二面性(多面性)に注目する (物事には良い面悪い面いろいろあるよねえ)


物事の関係性に注目する


物事を分解して考える (ex 大学生→男子大学生+女子大学生)


「なぜ、それが問題なのか」に着目することによって、ある問題を問題と見なす視点は何かをとらえる (今まで意識してこなかったけどこれは大事だと思う)


ある問題がクローズアップされることで、隠されてしまう問題がないのかに目を向ける


などを指摘している。まあ、当たり前のことばかりだが、再意識させられ役立った(実践はとても難しい、時間的にも精神的にも)。本当はこんなの幼い頃からきちんと教えられるべきことだろう。一回、超意識的にやってみるのもいい。


また本書の趣旨からははずれるが、 集団の均質性が高く、その集団への所属が強制されている集団がいじめを生む場 と指摘している部分がありなるほどと思った。自分でもそう考えていたし、聞いたことのあるような説明だがはっきり文章化している本は初めてみたので。


《20070408の記事》