死の壁

死の壁
養老 孟司 2004 4 15 新潮社


 エッセー。文章が美しいわけでもなく、内容が深いわけでもないエッセー。


 内容の薄い話がとびとびに現れ、何が言いたいのか全然分からない。ところでこの薄い多方面にわたるエッセーはどういうふうに「死の壁」に結びつくのですか?まさか「死について考えてもどうしようもないね」みたいな内容のエッセーから?死に壁があるのは当たり前だ。特に世界の見方が変わるようなエッセーもなかった。


 こんな本がベストセラーになってしまう現状がとても悲しい。私は新書という形態を大いに評価する。安価だし、なにより短時間に読めるからだ。内容の濃い新書も多かった。


 けれども最近目につく。内容の著しく薄い新書が。思考の著しく浅い新書が。しかもそれがベストセラーになってる例が散見される。


 新書は大衆の頭の浅さを露呈することに手をかしてしまったのか。


《20060315の記事》