トラベラーズノートの魅力


私は今、といってももう3ヶ月近く前からだが、MIDORIのトラベラーズノートという手帳を使いこなそうと奮闘している。
参考→ http://www.midori-japan.co.jp/tr/
トラベラーズノートとは牛革一枚でできたノートカヴァーといってよい。そこにいろいろなリフィル(ノート)を差し込むことでいわゆる手帳やメモ帳となる。


これまで、裏紙として使えるものを何枚か本のように挟んだり、安いノートをトラベラーズノートのサイズに合うように裁断して挟んだりと、いろいろと工夫をしてきた。
正規品は高いので上のような工夫をしてきたわけである。
結局、今は「月間ダイアリー」と「軽量紙」、「ジッパーケース」の2冊+1アイテム体制で安定している。
どれも、正規品。
メモの要である「軽量紙」のコスパがそんなに悪くないのでこのままで落ち着きそう。
正規品の方がやっぱり美しくてすんなりくる。


トラベラーズノートとの出会いは衝撃的だった。
12月に友人の手帳買いに付き合い、その時行った文具店で見つけた。
当然見本がおいてあったわけだが、その見本がすごかった。
傷だらけ。皮の表面にはもとからあったと思われる筋やよれまであった。
ぺたぺたと吸い付くような感触。
多数の傷やよれによるざらざら感。
ゴムのような柔らかさ。
革のにおい。
皮革製品をまともに鑑賞してこなかった私だが、その皮の感触は衝撃的だった。これが動物の皮なのか、と。
裏も通常の革のようにきれいに加工されていない。ぶつぶつしている。


そこにあったのは革の手帳というよりまさに、ただ、人に触られまくった牛の皮の一枚だった。



友人は一週間後ぐらいに買っていた。
私は一ヶ月ほど脳裏にあの革の感触が残り続けた。その後、ついに根負けして買った。



悪戦苦闘しながら手元に置き始めて、約3ヶ月。
今あらためてその特徴を整理してみようと思う。


①ほとんど加工していない。
トラベラーズノートは完全に手帳としての利用が想定されているわけではない。そもそものコンセプトは、旅に持っていくためのノート(メモカヴァー)というのが、そのネーミングからもうかがえる。しかし、スケジュールを挟むなどして手帳として利用している人が多いだろう。
多くの手帳には使い勝手を向上させるために種々の工夫をしている。
例えば、システム手帳のようにリングをつけたり、傷つきにくいように表面を処理したり、カードポケットをつけたり、ペンホルダーを付けたり、丈夫なように材料を二重にして糸で縫ったり。
しかし、トラベラーズノートに施されている加工は、通常に比べ抑えた皮革処理しかしていない革1枚に「ゴムを錫製のパーツで留めた」だけである。
革は傷がつきやすく、皮にあったすじを消す加工すらしていない。私のトラベラーズノートにも、ちょうど真ん中のいい位置にすじが残っている。
他の手帳と比べたとき、「革の通常より抑えた処理」と「製品をを構成する材料の少なさ単純さ」で、トラベラーズノートの未処理さシンプルさは非常に際だっているといえるだろう。


②不便
トラベラーズノートは不便である。使い勝手があまり良くない。システム手帳のように、紙の入れ替えができるわけでもなく、あるとすっごい便利な各種ポケットがあるわけでもない。ノートをたくさん挟むには少し工夫がいる。構造があまりにシンプルすぎるからだ。
トラベラーズノートは他の手帳に比べれば不便。しかし、それと同時に、人によってはそれを十分にのりこえるだけの魅力を内包している。不思議な製品なのだ。


③カスタマイズできることによる愛着
現在、カスタマイズするための正規リフィルは以下の例ように何種類もある。
月間ダイアリー
週間ダイアリー
軽量紙
画用紙
横罫
無罫
日記
ケットシー
ジッパーケース
ペンホルダー etc


どのようなノートを選び、何冊挟むか決め、どのようにゴム紐に通し、何の小道具でカスタマイズするか(或いはしないか)はユーザーの自由であり、人によって全く違ったトラベラーズノートができるだろう。人によって全く違ったトラベラーズノートの使い方が生じるだろう。このような「悩みの過程」と「自分だけにカスタマイズしたトラベラーズノート」、「それを使用する自分だけのシチュエーション」はトラベラーズノートへの愛着心をかきたてる。
人によってはしおりを増やしたり、革に刻印したりもするそうだ。
他の手帳に比べ、カスタマイズ性が非常に高いといえる。それが、ユーザーの愛着の高さ、トラベラーズノートの魅力の高さにつながっているといえるだろう。


④絶妙な大きさ。
一般的なバイブルサイズよりは一回り大きい。かといってA6サイズのようにぼたっとした横幅ではなくほどよくスリム。使い勝手がちょうど良い大きさ。


この大きさは絶妙。
服のポケットに入れない想定では、非常に使いやすい。
弱点をあげれば、MIDORIの規格なのでリフィルに競争が働かず、リフィルの値段が比較的高いということだろう。



というわけで、今日は「skycommuの思考の補助装置」である(でありたい)トラベラーズノートという手帳メモ帳について熱く語ってみました!


トラベラーズノートは、僕にメモをとる喜びを、字を書く喜びを与えてくれる。


《2008/04/30の記事を転載》