クラスでできる非行予防エクササイズ 子どもたちの後悔しない人生のために

クラスでできる非行予防エクササイズ 子どもたちの後悔しない人生のために
押切久遠 2001 図書文化社

内容、出版者ウェブサイトより

更正保護に携わる保護観察官からすべての教師・保護者におくるサイコエジュケーションの実践。「こんなことになるなんて」と悔いる子をどうしたら救えるか。すべての子どもたちに非行への免疫力をつける、初めての非行予防策である。
非行から守るために「非行予防エクササイズ」
どうかかわるかには「非行を予防する12か条」
事件が起きたときに「非行への対応5か条」

感想

生徒に対する指導といえば、「聞くこと」が強調されるご時世だ。もちろん「聞くこと」はとても大切だ。そうして生徒の情報をえたり、人間性をつかんだり、関係性を築く。
しかし「聞くこと」が強調されるあまり、「指導すること、教え諭すこと」がないがしろにされていないか。そうした誤りを再度確認する本だった。

非行には能動的に関わることが必要、その著者の言葉に勇気づけられた。

メモ

・罪を犯すとどのような処罰や指導があるのかきちんと教えるべき。何が罪になるのかよく分かっていなかったり、処罰(指導)を甘く考えたりする子供がいる。

・非行の進んだ少年ほど、非行の原因を自分以外のものに転嫁する傾向がある。まず自分のやったことにたいする責任を認めさせるべき。

・非行少年の保護者も、子供に責任の一端があるのに、子供をかばって責任転嫁することが多い。その場しのぎでは良いかもれないが、長い目でみれば、その責任についてじっくり話し合うべき。

・もしも被害にあったのが自分だったら、あるいは自分の大切な人だったら。こう考えることで、被害者の痛みに近づき共感を深め、他者の痛みを顧みることにつながる。

・子供たちが大人の言うことを聞くのは、「権威」と「つながり」の2つがあるから。
現在、価値観が相対化され大人の権威が持ちづらくなってきた。相当苦労しなければ手に入らないのが現実。

・印象だが、非行少年の保護者には次のような傾向があると思う。
 放任気味、子供との関わりが薄い
 子供の肩をもち、子供が自己責任と向き合うことを妨げている
 母親が一人で抱え込み疲れ果て自信を失っている